世界編 #04 “無”の足音

 すうたいどろにんぎょういんせきへきまえていしていたのを、十六夜いざよいつけた。

「おや、どうしたのですか。」

 十六夜いざよいいたどろにんぎょうたちが、むらがってなにかをうったえかける。

「あぁ⋯⋯はなせないのですか。」

 どろにんぎょうは、みないちようとうげてらくたんひょうげんする。

前々まえまえから、ぞまりさんのじゅつにはもんがあったんですよね⋯⋯。ひとみちかられているがして⋯⋯。」

 十六夜いざよいは、ぼうぜんとするどろにんぎょうたちのうちのいったいに“かんじょうやまい”とよばれるじゅじゅつをかけた。かんじょうけるとどうにそのかんじょうくちじゅつであるため、なにかしらのっていんせきへきまえたたずどろにんぎょうにはてきしているだろう、と十六夜いざよいかんがえたのだ。

「さぁ、しゃべれるようになりましたよ。ためしに、わたしなにはなしてみてください。」

がけコウがわがけ――。」

こうに⋯⋯きたいのですか?」

 いんせきへきすこうえほう十六夜いざよい

 かれいていた。このいんせきへきそとがわは、どうなっているのか。

「フルサト、フルサト。」

 どうやら、このどろにんぎょうたちはいんせきへきそとがわでつくられたようだ。

ざんねんですが、こうにくことはできませんよ。あぶないですから。」

「フルサト、フルサト!」

 十六夜いざよいこといてあばはじめるどろにんぎょうたち。

こまりましたね⋯⋯こればかりは、いのりやじゅじゅつでどうにかなるもんだいでもないんですよ⋯⋯。」

 十六夜いざよいぞまりそうだんしようとシェルターのほうかいしゅうへんさがしたが、たらなかった。

やしなさん、すいさん。」

 シェルターのいりぐちからかおだけしてく。

ぞまりさんをませんでした? どろにんぎょうたちのことではなしたいことがあって――。」

「いや、ってないが。すくなくともシェルターにはもどってきてないし、とおくへもないだろうから、そのへんにいるんじゃないのかね。」

「そうですか⋯⋯。」

 いなかったんですけどね、とこころなかつぶやき、いんせきへき沿ってぞまりさがす。

 いんせきへきらってんからせいえんちかえんじょうひろがり、ぶんさいこうながれでがくじゅつはったつだったというゆうもあるが、そのおおきさはけいそくのうだった。

羅針盤コンパス使つかえるだけかったですね⋯⋯これがなかったらいまごろまよってますよ⋯⋯。」

 いんせきへきかこまれたエリアのちゅうしん坩堝るつぼどろにんぎょうらによるれきてっきょぎょうすすめられているが、しゅうえんまではまわっておらず、あしもとにはけたきんぞくにおいのするすなてつかたまりころがっている。

てつけるにおいもそうですが⋯⋯においが。ちんこんいのりでじょうぶつさせても、これだけはぬぐえませんね⋯⋯。」

 はなおお十六夜いざよい

 すると、羅針盤コンパスかたれきけるそのみみに、そくてききんぞくのぶつかるおとこえてくる。

ぞまりさん⋯⋯ですか⋯⋯?」

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