第4篇 崩壊してしまった世界で私は
第4篇① 出会い厨
この世界は今ゾンビでいっぱいになっている。
生き残っている女も未だに信じられないことであったが、外ではゾンビ達がうじゃうじゃと道を歩いている。
それは2週間とかそこらくらい前の日の事だった。テレビでゾンビが発生したかもしれないというニュースがやっていた。
んなあほなことが起きるわけない。そう思って部屋の中でそのニュースを見ていたけれど、テレビには次の瞬間腐った手足で暴れる人間が映って、翌日からは収拾がつかない速度でゾンビの数が増えて、混乱の中気づけば世界が終わっていた。
本当に理解が追い付かない速度で、そうなってしまったから女は夢なんじゃいかと疑い続けるほかなかった。今も外へ出ればなんでもない日常の風景が広がっているんじゃないかと思う。
でも、たしかに窓まで行って外を見下ろすと、何匹ものゾンビ達が歩いているのだ。玄関まで行くと、微かにゾンビ達の呻き声も聞こえる。
女は都会のマンションで1人暮らしだった。タワーマンションの超高層階暮らし。いつも上から人々を見下ろす優雅な生活。
加えて女は普段全く外に出ない人種だった。ニートではないけれどニート生活。ほとんど食って寝ているていだけで生きていくことが出来ていた。
その女の武器はかわいさだった。流行りの化粧で着飾った量産型雰囲気かわいい女子じゃなくて、すっぴんでも周りを黙らせる圧倒的可愛さ。しかも、男受けが超絶良い顔であるらしかった。
女の視点からは何故か分からないけど、とにかく男は自分の顔が好き。背が低くて胸がでかいという男受けの良いステータスもある。
女はその武器で男から貢がせるという形で金を稼いでいた。ネット上で顔を出して配信すれば、男に媚びれば媚びるほど金をもらえる。ただエロいことをするだけではなく清純さも演じて男が好きなゲーム配信なんかもする。
今までの人生でモテ方を女は完璧に把握していた。あとはたまに金持ちを部屋に呼んで抱かれておけば、豪勢な暮らしができた。
そうだったのに、世界がゾンビだらけになった今ではただ寝ているだけでは死ぬのを待つだけだ。
食料が家から尽きた。もうあと1食分食べたら、水だけしかなくなり、そこからどこまで何も食べずに生きられるかという状態になる。
つい先日までここまで食料を運んできてくれる人がいたのに、もう知り合いにも出前をしている店にも連絡はつかない。最後に食料を運ばせた男はもうゾンビになってしまったんだろう。
そこで女は自分の顔と胸をスマホで撮影した。新しい自分の世話係を募集するためだ。
インターネットはまだ機能していた。
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