第3篇④ ニンゲンショップ

 飼育する奇形の人間は大人でも良かったが、さすがにそんなどうしようもない生物を買う人がいないからか売っていなかった。


 けれど、奇形の子供たちはいくらか選ぶ余地があるほど売っていた。


 人身売買という汚くて暗いイメージと違って奴隷市場を開いている建物は綺麗だった。金持ち相手の商売だからか、建物内のインテリアを見ると宝石店か何かと思うほど。とてもそんな汚い店には思えない。


 そんな豪華な建物内でペットショップのように人間の子供がケージに入れて並べられていた。まだ幼稚園児のような幼子から性的に熟した十代後半くらいの男女まで。その売り物達が来ている服だけが唯一汚かった。


 そこで男は金で雇った通訳を介して興味の湧いた子供を1人ずつ選んだ。望みの体の一部が欠損していたりする子供達だ。


 雇った通訳には住む家や住む場所を決めたり、この国や地域での注意点まで良くしてもらった。男が住むのは発展途上国に類する地域にある場所だが、日本や他の先進国と何ら変わりない高級住宅街。金持ちが犯罪をする為の集落がそこにはあった。


 先進国の金持ちと発展途上国の金持ちが金で作った住宅街だ。


 やはり金さえあればどんなことでも成すことができる。望む環境、望む生活が思い通りだ。


 男はその高級住宅街で日本にいる時と変わらない生活をした。家で適当に経済を回しながら、奇形の生物を観察する。その他の娯楽や食事も日本にいる時と変わらない。進化したネットと流通があれば場所がどこでも日本の生活ができる。


 変わったのはお隣さんと飼育する生物くらいか。当たり前のように奴隷がいる周辺の家では麻薬なんかも作っている。ときどき犬の鳴き声のように少女の悲鳴が聞こえてきたり物騒な爆発音がするが関わらなければどうということはない。むしろ異常で面白かった。


 そして何より購入した奇形の人間達。数は4人。男が2人に女が2人だ。


 男女確1人ずつは片腕が無いのと、片足が無いの。人生においては重い障害だろうが、男の求める奇形としては軽めのものだった。


 それはそれで色んな観察ができるからそうした。多少の知性も与えて、将来は交配させてみるのも面白いと思っていた。手が無いVS足が無いでの何かしらの勝負をさせてみるのも面白い。


 男が2人はその程度の奇形で満足できたのはもう2人がとんでもない容姿を持っていたからだった。


 もう2人の子供のうち男児の方は頭と胴以外何も持っていない。女児の方は全てを2人分持っていた。簡単に言えば……。


 男児は頭と胴だけに性器がくっついている芋虫みたいな見た目をしていた。本当に気持ちが悪い。幽霊的な化け物にも見える。遠目から見れば正に芋虫。人面芋虫だ。


 女児は2人の人間を無理やり融合したように、手が4本、足が4本といびつに生えていた。目も4つ、通常の位置にある目の斜め上に1つずつという形であった。これまた虫のようで、見ていると吐き気がしてくる。


 どちらもまだ幼稚園児の年齢。男はその2人のえげつない奇形児にイモとムシというそのままの名前を与えた。

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