第5話 Eがたくさんの人を殺す理由
Eが初めて人を殺したのは6歳の頃だった。
2歳の弟が泣き止まないので首を絞めて殺した。
Eの母親が買い物から帰ったとき、Eは弟の首をまだ絞めていた。
とっくに大人しくなっていた弟の首は折れていた。
Eの母親は、弟は階段から落ちて死んだと、家に帰ってきたEの父親と警察に話した。
Eが2度目の殺人を犯したのは、翌年だった。
犬とセックスをして見せてほしいと下級生に頼んだのだが、断られたので殺した。
煉瓦で滅多打ちにされた下級生の死体は、学校の校門前に置かれていた。
警察は、怨恨か小児愛者の暴走だとして捜査を進めたが、結局犯人は見つけられなかった。
Eは家庭の事情で転校が多かった。
新しい土地でもEは人を殺した。
13歳になるまで1年に2人ほどの割合で殺し続けた。
殺した小動物は300を超えた。
Eは14歳になると、近所の女子高校生を攫って、自分の部屋で飼い始めた。
食事として家族の残飯を与え、トイレとしてオマルを用意した。
2週間もすると女子高校生が発する匂いに耐えられなくなり、殺した。
死体は海に捨てた。海までは父親の車に乗せてもらって行った。
Eは現在21歳だ。
一度も警察に捕まったことはない。
今も実家住まいで、優秀な大学に通っている。
最近は1年に1度くらいしか人を殺さないと言う。
「勉強が楽しくって。いま、すごく充実してるんです」
しかし、人殺しをやめる気はないのか、と私は尋ねた。
「うーん。多分、やめないと思います。だってもう、昔っからやってるから、息をするのと変わんないですもん」
Eが殺した人数は、本人が覚えていないというので、定かではない。
Eは今でも、一度も警察に捕まったことはない。
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