第4話 Dが女子中学生を殺した理由

Dは21歳で大学生だった。 経済を専攻しており、将来は海外の大学院に行こうと考えていた。

はじめてできた恋人と順調な交際をしていた。

恋人は一つ年下だった。

まだ幼い顔立ちだが、芯の通った性格をしていて、Dよりも年上のような振る舞いをした。

「お似合いの二人でしたよ」

二人を知っている大学生はそう証言する。

「今時珍しいくらい、なんていうかなー、綺麗な恋愛をしてるみたいで。休日には一緒に美術館や博物館を回って、カフェでお茶して~みたいな?何度聞いてもそんな話ばっかりで。居酒屋一つ行ったって話はなかったな~。今時、高校生でもそんな初々しいかな~って感じで、逆に新鮮だったっすけどね」

Dの恋人の親友だった女性はこう証言する。

「Dさんには一回会ったことがあって~めっちゃイケメンだから~いいな~って●●(※Dの恋人の本名)にも言ったんですよ~。でもね~うっふふ…ごめんなさい、ちょっと思い出して笑っちゃった、いやね、●●ってば超真剣な顔で”Dは私の王子様なの”って言ったんですよ。冗談かと思って笑ったら、めっちゃ怒られちゃって……それ以来、●●とは連絡とってないんです」

Dは大学を卒業したら恋人と結婚するつもりだった。

しかしDは、近所の女子中学生を強姦して殺したとして警察に逮捕された。

女子中学生の遺体は川に浮かんでいるところを、近所の釣り人によって発見された。

女子中学生は全裸で、全身に殴られた跡があり、右手首は複雑骨折していた。膣にはタバコが押し入れらており、乳首の周囲にも100を超える火傷の跡があった。

女子中学生を最後に目撃した人が、隣を歩くDを覚えており、煙草に付着した唾液から裏付けも取れた。

「意外ですよね。あいつ、●●ちゃんと付き合ってたんだから、ロリコンじゃなかったと思うんですけど。それにあんな猟奇的な事できるようには見えなかったんだけどな~。でも、ま、人って見えてる面だけじゃ、判断できないっすよね」

前述の大学生はそう言って、しみじみと頷いた。






Dは私にだけ女子中学生を殺した本当の理由を教えてくれた。


「週末、恋人と初めてえっちする予定だったので、ちゃんと練習しようかなって思ったんです」


童貞だったのか、と私は尋ねた。


「はい。僕は童貞だし、彼女も処女だって言ってました。だから、絶対に失敗できないじゃないですか。僕は彼女の王子様ですからね」


セックスを練習したければ、風俗という手もあったのではないか、と私は尋ねた。


「嫌ですよ。商売で誰とでも寝る女なんて、どんな病気を持ってるかわからないじゃないですか。だから、うぶそうな女子高生を選んだんです。小奇麗だけど、あんまり可愛くない、地味な子」


あの子は中学生だった、と私は言った。


「そうでしたっけ」


セックスの練習台にしたかっただけなら、なにも殺す必要はなかったのではないか、と私は尋ねた。


「彼女に嫌われちゃうと思って。他の女と寝たなんて知られたら。だから、しょうがないですよね」


なぜ執拗にタバコで責め苦を与えたのか、と私は尋ねた。


「すっごく泣くし暴れるから、黙らせる為に乳首を焼きました。アソコに突っ込んだのは……そのお……なかなかうまく俺のが入らなかったんで、イライラしちゃって、入れさせないようにしてんだなと思って、そしたらカーッとなっちゃって、やっちゃいました」


恋人とは別れたのか、と私は尋ねた。


「まさか。彼女は今でも毎日差し入れを持ってきてくれます。刑期を終えたら、彼女と結婚するんです」






Dは法廷での反省した態度が認められ、弁護側の求刑15年から大幅に減刑、10年が求刑された。


刑が決定するまで、恋人は毎回、傍聴席に来ていた。Dとは今も愛の手紙をやり取りしているという。

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