第3話
【エイリアンなんです】
旅行先で、道を聞かれた時どうしますか?
私は、私もエイリアンなんです、ごめんなさい、と答えます。
エイリアンというと、地球外知的生命体を思うかもしれないが、言葉の意味としては、異邦人だ。その土地や集団に所属していない人だ。
私はエイリアンだ。生まれ育った土地にいても、他の土地だとしても、集団の周縁にしかいられない。どこに行っても違和感はないけど、でも周縁にいるよね、と言われる。欧米だろうが、アジアだろうが、どの時代に居ようが、溶け込めそうな印象がある。でも、ど真ん中で生活してるのではなく、中心から外れたところでメジャーでない仕事、薬草とか扱ってそうな、をしてそうなのだそうだ。
どこに行っても馴染みそうなところにいることに笑っておくべきか、でも集団にきちんと入れないことに嘆いておくべきか、迷うところだ。でもまあ、そういうタイプだよね、で終わっていい話かもしれない。エイリアンなのだから。
そのエイリアンは、エイリアンを自覚した今、迷っている。
もしかして、私はエイリアンであることに満足しているのか、と。
真ん中で生きられないことが嫌で、人に合わせる方法を学んだ。でも、ずれた人間はどうしてもズレるのだ。真ん中に向かったところで、きちんと根を降ろせない人間なのだ。だからきっと、どこでも、どの時代でも馴染めそうなところに重きを置いて、しれっと迷い込んでしまえることを良しとして飲み込んでしまおうと。
エイリアンにしかなれない、ではなく、エイリアンとしてどこにでも行ける。それで良いのではないか?
見方を変え、考えをズラせば良い。
エイリアンってすごいじゃないか!と満足しよう。
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