第5話
あの邂逅の日から恐らく3年位は経った。
経った筈。
うん。
ちょっと曖昧なんだけどフェリシアが今年で14歳になるらしいので多分そう。
あれから魔の大森林での出来事は結論から言えば狩って勝った。ヌシモンスターも狩って勝った。
とにかく制空権をうばっていたモンスターを撃ち落とし、なるべく高い木にフェリシアを置いて他のモンスターのヘイトを取りつつ1匹ずつ狩っていった。
因みに大きさ関係なく狩るとポリゴンになって消える。
そしてストレージにアイテムが納品される。
ここはポリゴンクエストと全く同じらしかった。
近場の村に行きフェリシアと宿で1泊した。
その時にフェリシアの事情を聞いたのだが、だいぶ厄介だった。
ミサイヤ大陸にあるシルバリオ帝国のお貴族様のご令嬢で転移の罠に嵌められ暗殺されかけたようで、しかも犯人分からないと来た。
帰る為の費用も能力も無し。
一応無事を知らせる手紙を家元に出す予定だそうだ。
ただ、今居るヒルア大陸のムネトル王国とシルバリオ帝国は国交が無いらしい。
王国側に保護を求めるにも身分を証明する物もなし、保護されたとしても帝国に対する人質にもなりかねない。
更に暗殺されかけたという事は帝国側から見捨てられる可能性があり王国側がフェリシアをどのように扱うか分からない。
なので戻るにしても自分で旅費を稼がなければならないが稼ぎ方がわからない。
助けてしまった関係上、放り投げるのもはばかれる。
まあ、涙を堪えて自分の事情を語る11歳の少女に絆されたのもあるっちゃ有るけど。
兎に角、そう言う訳で安全に送り出して上げたいものの向こうに着いても暗殺されかけたのだから信用出来て強い護衛が必要な訳で。
それにはフェリシアの旅費と護衛の旅費と護衛代金が掛かる。
俺が着いて行ければ良かったのだけど、宿以外で寝るとオーサマー(笑)行きになる。
面倒臭い呪いだ。
かと言って2人で宿を使い続ければ金は貯まらない。
なので海近くの村に拠点を買った。
後、俺の呪いの事もフェリシアに話した。
初めは意味不明と馬鹿にされたが目の前で寝て消えるのを見てからは信じてくれた。
ダッシュで帰ったら拠点で泣いててちょっと困った。
3年たってようやく旅費と護衛代金の目処が付いた。
付いたが信用出来る強者は今だ見つからず、フェリシアの実家から迎え所か手紙さえも来なかった。
完全に足踏み状態になってしまった。
何か無いだろうかと思考していると、ふと保留にしていたスキルを思い出した。
「あれで何とかならないかな?」
「あれってなんですの?」
「ああ、俺のスキル」
「スキル?ってなんですの?」
「ああ、実は……」
「ふーん。そんなのがあるんですの。興味深いですわ」
「そう?そう言ってもらったの初めてだから結構嬉しいかも。はは」
「どんな事が出来ますの?」
「うーん。初めて使うから一緒に試そうか」
「そうですわね!」
【スキル:商談が成立しました。スキル:製作が可能です。尚、製作で作られたスキルはスキル:商談が成立した者に対してスキル:譲渡を行わなければ発動しません。】
「どゆこと?」
「ふぁ!?な、なんですの?この声!」
「え?フェリシア聞こえたの?」
「え?ええ。スキルを譲渡とかなんとか」
「ちょっとログを見てみる」
見てみると商談の相手はフェリシアである事、製作で作れるスキルはINN(宿)とSP(セーブポイント)である事、フェリシアにスキルを譲渡しなければスキルは発動しない事だった。
フェリシアにそのまま話すと「面白そうだからやってみたいですわ」と鶴の一声。
フェリシアにスキルを製作して譲渡した。
「あ、分かる!私にもスキルの使い方が分かりますわぁ……〜〜〜なぁ!」
突然フェリシア真っ赤に茹で上がった。
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