第4話

 俺は今、魔の大森林に来ています。

 ここは自然が豊かで空気がとても澄んでいます。

 フィトンチッドが多く発散されているのでデトックス効果は高そうです。

 緑の匂いが濃いので苦手な人もいそうですが、安らぎと癒し効果は抜群な気がします。




 タッタッタッタッ!


「………………」







 そうですね!

 モンスターに追われさえしていなければ……ですが!!


 ドッシン!ドッシン!ドッシン!ドッシン!

 ドッタン!ドッタン!ドッタン!ドッタン!

 バサァー!バサァー!バサァー!バサァー!

 バッタン!バッタン!バッタン!バッタン!



「グアアア!」

「クルアアアア!」

「ギャオオオオオン!」

「グルアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」

「ガルルガルアアア!」



 何故、俺は今反撃せずに逃げ回っているかと言えば、今抱えている子供のせいなのだ。


 魔の大森林のヌシらしきモンスターに遭遇した俺は一対一の好条件で不意打ちに成功して有頂天だった。

 何せ、いくらレベルカンストして装備も最強を誇るからといってヌシモンスターはやっぱり強い。


 ポリゴンクエストではストーリー上、基本的に3人から4人のキャラでヌシモンスター一体を狩るのが常識。

 ソロ狩りなんてものは始まりの街のほんの初めに有るか無いかくらいで今の状況はまず有り得ないのだ。


 なので本当に好条件の邂逅だったヌシモンスター遭遇戦で後もう少しの所まで追い詰めていた所に子供が空から降ってきやがった。


 思わず「親方ー!空から女の子が!」って叫びたくなったよ!


 攻撃を仕掛けていた所に落ちて来たものだから思わず切っちゃう所で本当に慌てた。


 速攻子供を抱えて体制を整えようとしたらヌシモンスター仲間呼びやがって、マジで今大ピンチ。


 多分、ここで力尽きたら眠る前に食われるか、上手く寝れても子供が食われるの2択なんで、そんなの真っ平御免なのですよ。

 そんなんで何とか1匹づつ狩って行きたい所なんですが、子供を抱えての縛りプレイなんてはっきり言って辛すぎる。


 かといってこのまま逃げていても埒が明かないしどうしたものか。

 広範囲の攻撃手段でも有ればと無い物ねだりをしてみる。


「う、うーん。ここは」

「お、なんだいお嬢ちゃん。お目覚めかい?」


「ふぁ!?な、なんですか!貴方!人攫いですの!」

「いやぁ〜。攫いたくなるほどのかわい子ちゃんではあるけれど、あと5年後に出会いたかったかなぁ?」


「な、何を言ってますの!と、とにかく離して下さいませ!」

「え?今はやめた方が」

「もう!離して下さい!離して!」

「グルアアア!」

「おっと」

 ガチンっ!



「ふぇ?ぴっ!ぴぎぁぁぁぁーーーー!」

「うお!ちょっと耳元で叫ばないでくんないかな」


「ちょ、ちょっとどういう状況です「ギャオオオオオン!」のぅきゃゃああーーーー!」

「だから五月蝿いって!」






 これが生涯、手離す事の出来なくなった少女フェリシアとの邂逅だった。

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