第2話
第一試合
三枝VS神田
「神田。お前にメロンパンは渡さない」
真剣な眼差しで神田に宣戦布告する。
「はぁ、残念だ。お前とここで戦うことになるとは。お前を倒して勝利のメロンパンを喰う。それだけだ」
神田は指を鳴らし始める。
「行くぞ!」
「こいよ! 三枝ぁ!」
二人の闘気が高まっていく。
「「最初はグー!」」
「じゃん!」
「けん!」
「「ポン!」」
三枝の手はグー。そして神田の手は、
グー。
あいこ。ドロー。
「「あい!!」」
「「こで!!」」
(相手は何を出す? このままグーで突っ張るか? いや、安牌をとってパーか? 裏取りしてチョキで返すか? ええい、ままよ!)
三枝はチョキを選ぶ。この手でメロンパンを勝ち取ると信じて。
(三枝はほぼ確実にグーを出す。あいつの手は俺が一番知っている。だから裏をかこうとしてチョキを出す。ならグーだ。グーで勝てる)
神田はグーを選ぶ。
「「ショ!!」」
神田はグーを出す。
そして、三枝の手は
パー。
まさかの選んだ手に負ける手を出していた。
そう。彼はメロンパンを手にしたい。という感情からパーを出していた。自分の思考以上に感情が身体を動かしていた。しかし、その感情が神田の読みを覆す結果をもたらした。
「ッシャオラアアアアアアアアアアアア!」
三枝が勝利の雄たけびを上げる。
教室内の空気をビリビリとさせる。
「負けた。俺のグーは、俺の分まで戦ってくれ。そして、必ず……勝て……よ」
神田は緩やかにその顔に誇らしい笑みを浮かべながら椅子に身体を預ける。
燃え尽きたように目を伏せる。
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