高校生がじゃんけんするだけ
みない
第1話
「おなかいっぱいだから、メロンパン欲しい人いる?」
雪見のその言葉に教室内の空気が凍り付く。
「「「「はい!!!!」」」」
高校生の昼休みに、食べ物をチラつかせる。それは空腹のサメの群れの前に肉を投げ込むことと同義とされている。
そう。ここから、メロンパン争奪戦が始まる。
そのメロンパン争奪戦に参加する4人の猛者を紹介しよう。
最初に紹介するのは、藍川。
身長175㎝の長身。バスケ部に所属し、副部長を務める。ポジションがベンチなのは公然の秘密。その長身と副部長としての威厳でメロンパンをもぎ取るのか。
次に紹介するのは、神田。
身長165㎝の平均的な身長。帰宅部所属。〈神速の帰宅部〉の二つ名を持つスピード型。気づいたときには既に帰っていることに定評がある。その速さがこの争奪戦に活かされることはあるのか。
今度は、三枝。
身長170㎝。陸上部所属の長距離走を得意とするロングランナー。走りと同じように粘り強いあいこで勝ち残るのか。
最後に紹介するのは、八九寺。
身長150㎝。今回唯一の女子にして、剣道部最強の剣士。高速の出鼻小手と返し技で数多くの勝利をもぎ取ってきた。その反応速度でメロンパンを掴みとれるか。
「さて、ルールはどうする?」
藍川がノリノリでルール確認を始める。
神田と三枝はウォーミングアップと言わんばかりに屈伸を始める。
「普通のじゃんけんでいいんじゃない?」
この四人は普通にじゃんけんすることができるのか。
「なら、どっちが勝つか負けるか決まるまでの一本真剣勝負だな」
ルールは単純明快。あいこ以外が出るまでの一本勝負。
二人組を作る。のは雪見が適当に作った。
組み合わせは三枝と神田。藍川と八九寺。
この四人の猛者の中、誰がメロンパンを勝ち取れるのか。
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