第9話 実験結果
「アラン、アリス。俺は今から実験をする。突然頼み事をするかもしれないからよろしく」
「「はい」」
魔力を込めると影の存在力が高まることはさっきわかった。それが
まずは魔力を込めて操影を扱う。
結果から言えば、影の範囲は広がらず、影の速度、耐久度が込めた魔力に比例して強くなった。
人の骨など簡単に折れそうなほどの威力が出た。
そんなことを試していると、横から声が聞こえてきた。
「レインさん。影を剣みたいにして切ったりできないんですか?」
「なるほど!」
たしかに今ならそんなこともできそうだ。
だけども、周りに切っても良いものなどなくて、実際に切れるかどうかわかるのは後になるだろう。
「ありがとう、アラン。今後も気付いたことはなんでも言ってくれ」
明日試すことができたところで、潜影の実験に移る。
潜影の実験結果は、込めた魔力に比例して、移動速度が上昇するだけだった。
潜影中に操影などが今までできなかったから、魔力を手に入れてできるようになると思っていたけど、それでもできなかった。
そして速度は100mを大体10秒ぐらいで進めるほどだった。
次に貯影の実験に移る。
貯影の実験結果は変化がなかった。というか、変化が見られなかった。
魔力を使っている感覚はあるが、あったかいものは冷たくなっているから時間が停止しているわけでもない。
さっきのアランみたいに良いアイデアがあるかもしれないと思って、2人に意見を仰ぐ。
「影の中に収納する能力なんだけど、魔力を込めても変化が分からない。二人とも何かアイデアはないか?」
「影の中に入れた物の時が止まったりしないんですよね?」
「俺もそう思ったが、そんなことはなかった」
アランはそう言ってくれたが、申し訳ないことにもう試した後だった。
「ご主人様、私たちはご主人様と一緒に影の中に入れませんか?」
確かに、生き物を試した事がなかったな。
という事で、まず今までの感覚で入るかを試してみる。
「どっちかで良いんだが、この影の上に立ってくれ」
「じゃあ私がやります」
そう言ってアリスが影の上に立つ。
そして貯影を発動する。しかし、アリスが入る様子は見られない。
つまり今までは俺以外の生物が影の中に入ることはできなかった。
そのまま魔力を込めてみる。するとアリスが段々と影の中に沈んでいく。
アリスは急にバランスが崩れて驚いた表情をしている。
「アリス、少し実験に付き合ってくれ」
「は、はい」
アリスの了承を得たところで魔力をさらに流す。
すると、アリスが沈んでいく速度が上昇していく。
そのままアリスは全身影に沈んだ。
その状態で魔力を注ぎ込むのをやめても、アリスが出てくることはなかった。
影の中に手を突っ込み、アリスを引っ張り出す。
「アリス、大丈夫みたいだけど、中の様子はどうだった?」
「特に息苦しいとかなく、影の中からご主人様の足元が見えていました」
「そうか。あと、影に入ってる時に抵抗はできそうだったか?」
「はい。段々と抜けにくい感覚は出てきましたけど、抜けようと思えば抜けれるほどでした。でも影の中に完璧に入ると何も出来ない感覚に陥りました」
「なるほど、ありがとう。良い意見だった」
つまり、魔力を込めれば込めるほど早く影の中に入れる事ができて、完璧に入れると何もできる事ができなくなる。
「もう一つ試したい事があるから、もう一回影の中に入ってくれ」
「はい」「今度は俺も入りたいです」
2人を影の中に入れる。そして俺も影の中に入る。
すると影の中で2人に出会う。
「予想通り影の中で会う事ができたな」
「そうですね」
意思の疎通も難なく行える。これでやれることの幅が広がった気がする。
その中で2人についての実験を行う。
その結果、2人つまり俺以外の生物は体は動かす事ができるけど、その場から動くことはできず、物を投げても手から離れたところで止まる事が分かった。
次に2人を影から出して、影纏について実験を行う。
影纏の実験結果は、操影の実験結果からある程度の推測通りとなり、パワーやスピードなどが魔力に比例して強くなる事がわかった。
おそらく剣に使ったら切れ味も上昇する事だろう。
影纏によって上昇したスピードは、潜影と比べると遅い。しかし、上昇したパワーは操影と比べても遜色ないほどだった。
今回の実験結果から言って、魔力を使うとめちゃくちゃ強くなる事がわかった。
あと、今回は全てを試すために使う魔力を制限して使っていたが、後先考えずに魔力を使うとなるととてつもない武器になる。
今回の実験からいろいろなものが得られたと思う。
実験で魔力を使いすぎて、体がだるいから今日はもう寝ることにする。
アランとアリスにこの世界について教えるのはまた後日にしよう。
****設定****
「
これらの名前はジョブから直感的に感じられる。したがってレイン自身が考えたものではない。
また、特別感を出したくて自身でスキルに名前をつけて使っている人もいる。
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