第10話 3ヶ月後
魔力を使った実験の次の日、昨日と同じように薬草集めに努めた。
違う点といえば、俺が魔力を使える点だろう。
アランの予想通り、影を剣の形にする事でものが切れる事がわかった。
それを使う事で格段に薬草集めが捗った。
その結果、今までの総量とほぼ同じ量が取れた。
だから、昼食からは2人に文字を教える時間となった。
俺はそれからの時間を全て使って文字を教えるつもりだったが、2人は頭が良くて、その日のうちに理解した。最終的に文字を使って会話できるまで理解していた。
その日は、メリナに感謝の意を改めて伝えて、普段通りに1日が終わった。
それから、薬草採取やドブさらい、住民の簡単な依頼などをこなしていた。
そんな日を1ヶ月過ごして、アランとアリスがFランクに上がった。
それからはそれぞれが得意な依頼をこなすようになっていった。というか、借りていた料理場の人からの熱い勧誘で、アリスがそこの依頼を3日に一回こなしている。
アリスがそこで依頼をこなしてくれているおかげで、俺やアランはそこでの飯が安く食べる事ができる。何よりそこの依頼料は他のFランクの依頼と比べて高いのだ。
メリットしかないから、アリスだけ単独で別の依頼を受けることがある。
一度、そこの店主からアリスを売ってくれないかと言われた。しかし、俺からしたらメリットしかない彼女を手放す必要なんてないからもちろん断った。
その間、俺とアランは森で出てくるモンスターの討伐を行なっている。
もちろん、それらはアランの依頼だから、俺は片手間に薬草を集めて功績を積み重ねていく。
俺がGランクから離れる事ができるまで残り3ヶ月、つまりアランとアリスがFランクになってから2ヶ月が経過した。
Eランクに上がるためには、ジョブを授かっている必要があるため、2人はまだFランクのままだ。
そんな中、アランとアリス、2人同時に異変が訪れた。
その異変は俺も経験したことのあるものだった。
朝起きて、異変に気付いた俺は、2人にジョブを授かっているんではないかと説明をした。
そしてそのまま朝側も食べずに教会へと向かう。
教会に1人あたり10リースのお布施を渡して、ジョブの定着を行ってもらう。
まず、アランのジョブを定着してもらう。
アランは司祭様の前に跪き、目を瞑る。
そのアランの頭に司祭様が手を添えて、何かを呟いた。
その時、眩い光がその空間を埋め尽くした。
俺がジョブを定着してもらったときにはこんな事起きなかったから、おそらく異常事態が起きたのだろう。
タイミング的にもアランが原因だと思って、そちらの方を向く。
司祭様は驚いた表情をしており、アランは跪いたままでいた。
「司祭様、何が起きたんですか。アランが何かしでかしましたか」
「いや、この子は何も問題ない。さぁ次の子のジョブを定着させようか」
「わかりました」
アランを呼び戻し、アリスを司祭様の元に向かわせる。
アランの時と同様に、アリスも跪き、頭に手を添えられている。
しかし、アランの時とは違い眩い光に包まれる事なく、ジョブの定着は終了した。
俺からしたら、こちらの光景が見慣れているから、一安心した。
ジョブの定着が終わり、教会を出て行く。
「2人とも、どんなジョブだったんだ?」
「僕は聖騎士です」
「私は
アランのジョブは聞いたことあるが、アリスのジョブは聞いた事がない。
しかし、聖騎士というのはとても珍しいものである。
神様たちと同じ力、神力が使えると言われているジョブだ。
だから、かなり強い事が予想できる。
アリスのジョブは初めて聞いたジョブだが、名前からしてメイドに互換性のあるジョブだと予想できる。
戦闘に役立つジョブだったら嬉しいぐらいだな。
そのことを2人に伝える。
2人はそれぞれ自身のジョブに関する知識を処理するために、静かになった。
そのまま俺たちは、アリスがいつも働いているところに行き、朝昼兼用のごはんをとった。
それからは冒険者の依頼はせず、2人には宿屋に篭ってもらう。それは自身のジョブに関する感覚を理解してもらいたいからだ。
その日の夜、ジョブを授かった記念にちょっと高いところのお店に食べに行った。
その時の2人は、何か試したくてウズウズしている様子で安心した。
明日は2人に付き合ってやろうと考えた。
****設定****
アランが光ったのは、神力が神によって覚醒した、的な感じで光ってます。
****あとがき****
一区切りつけたと思うので、この時間にいくまでのレイン以外の視点を何個か番外編として出そうと思います。
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