第8話 感覚

 ホーンラビットの解体後、薬草採取を続けて、スライムなどが出たら二人に任せていた。

 また、アランとアリスに解体の仕方を説明したりしていた。

 二人は戸惑う素振りもなく、解体ナイフを上手に使い解体していった。

 その後、昨日と同じ時間ぐらいに王都の中に戻り、薬屋に向かう。


「いらっしゃい。昨日ぶりだね、レイン君」

「そうだな。とりあえず、薬草をかなり持ってきたんだが、どこに出せばいい?」

「そうだねぇ。じゃあこっちに来て、出してくれる?」

 分かった。と返事をして、メリナに着いていって、カウンターの奥に入る。


「こっちこっち」

 そう言って、メリナは脇の部屋に入るから着いていって入る。

 その部屋には見知らぬ女性が座っていた。

「店長、失礼しますね」

 店長!メリナが店長じゃないのか!

 店長と言われた女性は少しこちらを見て少し微笑んだ。

「レイン君、早くこっちきて」

 メリナはさらに奥の部屋に進んで俺を呼ぶ。

 その部屋の中に入る。

「レイン君、そこの大皿の上に乗せれる分だけ出して」

「分かった」

 俺は大皿に乗せれる分だけ出す。そして、ギリギリまで乗った薬草をメリナは棚から出した鞄の中に入れて行く。

 それを何回か繰り返して、薬草を全て出し切る。

「もう終わりっぽいね。ありがと。先にカウンターまで戻っていて」

 そう言われたから、俺はカウンターまで戻る。


「レインさん。もう魔力を感じるれるようになりましたか?」

 その場にいたアランから早速質問される。

「いや、魔力関係のことはやってない。薬草を出しただけだ」

「まだなんですね。よかったです」

 アラン自身が魔力の感覚を掴みたくて質問してきたのが分かる。俺だってさっきメリナと二人きりになった時にでも、問い詰めたかったからすごく分かる。


 その時、奥から手形と液体の入った瓶を持ったメリナがやってくる。

「お待たせー。まずこれが今回の分の手形ね」

 彼女はそう言って手形を渡してくる。それを受け取る。

「そしてこれが君がお待ちかねの物だよ。効果は魔力を吸収して、固体化するっていう液体だよ」

 メリナは、下から出したバケツにその液体を注ぎ込む。

「さぁ、ここに手を突っ込んで。魔力が多い人でも枯渇する量だけど、君なら多分大丈夫でしょ」

「あぁ、分かった」

 バケツの中に手を突っ込む。手を突っ込んだ瞬間から結晶が液中に発生する。

 次々に結晶が作り出されていき、液体部分が無くなる。

「どう?体に違和感ある?気怠さとか」

「いや、いつも通りだな」

「まだまだかー。まぁ考えてなかったわけでもないけど」

 メリナはそう言って、腰にあるポーチから今の液体を4本出した。

 バケツの中身を入れ替え、また手を入れる。


 4本目が終わり、5本目に入る時に軽い喪失感があることをメリナに伝える。

 するとメリナは明るい表情をして、別のポーションを取り出す。

「このポーションはね、最大魔力量の1割を回復するポーションなんだ。5本目が終わったらこれを飲んでもらうよ」


 もうすぐ魔力がわかる。その考えが頭の中を巡り、気分が高揚している。

 気のせいか、結晶ができるスピードが上がっている。

 5本目も全て結晶化して、メリナが持ってきたポーションを飲む。


 体の中で何かが満たされて行く感覚がある。これが魔力なのだろう。

 感覚を失わないうちに、魔力を使ってみる。

 影に魔力を流せることができる。影に魔力を流すと、影の存在力が上がった気がする。

 だから、今までできなかったことができる気がしてきた。俺はこれでまた強くなった。

 早速、影で椅子の形を作って座る。魔力を感じられなかった時はこんなことできなかった。俺の体が影をすり抜け、尻餅をついていたはずだ。

 今日のホーンラビットも抑えるだけだったが、今なら締め殺せる気がする。


「ありがとう。メリナのおかげで強くなれたよ」

「どーいたしまして。これから恩を返してくれればいいよ」

「あぁ、これからもこの薬屋を利用させてもらうよ」

 浮き足立って、薬屋を後にする。


 昨日と同じように、ギルドに行ってお金をもらい、アリスが作った夕食を食べる。

 そして、夕食後は部屋に篭り実験を始める。


****設定****

 魔力を消費して体に影響があるのは、半分以上消費したとき

 だから、今のレインの魔力量は常人の10倍程度の量がある。


 影の存在力とは、簡単に言えば影の硬さのこと

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