第4話 仲間

「どうして!どうしてアランも転生してるの?いや、転移!?どっちだっていい!せっかく異世界に来たのに被ってるじゃないの!どうして神様!私は特別じゃなかったの!?最初は奴隷スタートなんてついてないと思ったよ?でも、特別だと思っていたのに!まさか私以外にいるとは思わないじゃん!だって、私は主人公になれると思ったのに!」


 アリスが頭を抱えて、叫んでいる。その様子を見た俺は声をかける。

「アリス!落ち着けアリス!」

 アリスの肩を掴み、俺は必死に問いかける。アリスはハッとして、突然固まる。

「ご、ごめんなさい。ご主人様。取り乱してしまいました」

「一体どうしたんだ?2人ともイセカイとか言い出して。イセカイとは一体なんなんだ。説明をしてくれ」


 2人は顔を見合わせて、アリスが口を開いた。

「私から説明させていただきます。異世界とは、この世界とは異なる世界ということです」

「それは、2人はここフィンテル王国がある大陸とは別の大陸から来たということか?」

「いいえ、違います。その、なんていうか、根本的に違うと言いますか、ご主人様にとって、ダンジョンや魔法、冒険者があるのは当たり前ですよね?私たちはそれらが無いのが当たり前の世界から来たというわけです」

 んー。よく分からないな。別にこの2人がどこからきただろうと、今は俺の奴隷だし気にすることないか。

「とりあえず、お前らが俺の知らないところから来たのは分かった。でも、なんで奴隷になってたんだ?」

「私は異世界で死んでから、気がついたらこの世界の奴隷商の中で目が覚めてました」

「俺も同じ感じで、転生して来ました」


 こいつらが転生してるなら俺よりも食い方が綺麗なのも納得できる。


「2人とも転生ってことは、前世があるんだよな。文字の読み書きと数字の計算はできた方が良いから、2人はどこまで出来るんだ?」

「この世界の文字はさっきも言った通り読めないっすけど、計算は四則演算は簡単に出来るほどは身についてます」

「そうか。アリスは?」

「文字は元の世界とは違くて読めませんが、言語は元の世界と似てそうなので多分すぐにでも読めるようになると思います。計算はアランと同じくらいできると思います」


「そうか、じゃあ文字の読み書きは俺が教える程度で十分そうだな。とりあえず、俺がお前らの世界について聞きたいことはもうないかな。逆に俺やこの世界について聞きたいことはないか?」


「ご主人様!この世界には魔法はないんですか?俺、全然自分の魔力ってやつが分からなくて」

「いや、あるぞ。ただ、この世界にはジョブっていう存在があってだな、それは大体10歳ぐらいになると神から授けられる。そいつ次第で魔法が使える。あいにくと俺は魔法が使えないから、魔力がどんなのかはわからない」

「そうですか。あと、ご主人様はレベルはどうやって確認するんですか?ステータスをどうやって表示するのか分からなくて」


「レベル?ステータス?一体それはなんなんだ?お前らの世界ではあったのか?」

「えっ!いや、ないですけど。異世界ならあるかなと思いまして……。戦っていくうちに強くなるとかはないんですか?」

「あぁ、恩恵の話か。ジョブに沿った行動を行うと、たまにくる恩恵があってだな。それがくると体が頑丈になったり、新しいスキルを授かったりとか、ジョブに関する爆発的成長があるんだ」

「スキルあるんですか!ちなみにご主人様は恩恵は何回受けましたか?スキルは何個ですか」

「俺は2回ほど受けた気がするな。スキルは4つだ。あと、人にそういうのはあんまり聞かない方が良いぞ。お前らは仲間になるから言うけど」

「そうなんですか。ありがとうございます。俺から聞きたいことは以上です」


 アランは随分と異世界に関する知識があるみたいだ。一体どこからその知識を得たのかは、俺の知らない世界の出来事だからわかることはないのだろうけど。


「そうか。じゃあ、アリスはなんか質問はないか?」

「ご主人様はどうして私たちを買って冒険者にしようとしたのですか?」

「冒険者には仲間が必要だと考えてるからだ」

「わざわざ奴隷じゃなくても、冒険者同士の仲間じゃなくて良いんですか?」

「俺は奴隷が良かったんだけど、どうした?冒険者になりたくないか?なりたくないやつに冒険者をやらせて足を引っ張ってもらいたくないんだが」

「いえ、そう言うわけではなく、ご主人様は恩恵というものを受けるほどの活動をすでにしてらっしゃるのに、どうして未経験の私たちを仲間にしようとしたのかが分からなくて」


 なるほど。

 俺は崖から突き落とされたことを大まかに話した。

「だから俺は、俺に危害を加えないやつを仲間にしたかったんだ」


 俺の話を聞いて、アランは目を輝かせて、アリスは少し目に涙を浮かべていた。


「アラン。俺はお前の主人あるじだぞ?主人の不幸話を聞いて嬉しそうにするのはどうかと思うぞ」

「だって、これぞ主人公って感じの境遇じゃないですか!こっからご主人は元パーティの人たちにやり返しとかするんですよね?」

「いや、しないつもりだ。面倒くさいしな」

「えっ、どうしてですか。酷いことしてきた奴らをギャフンと言わせたいじゃないですか」

「やり返しはしないけど、見返してやるつもりはある。あいつらより高ランクに行って、後悔はさせてやろうと思っている」

「かっこいいっすね。そう言うことなら、俺も全身全霊尽くして頑張ります」

「私も、ご主人様の目的に沿うように頑張ります」

「元からそのつもりだったけど、まぁいい。早速冒険者登録をしに行くぞ」

「「はい」」


****設定****

冒険者は誰でもなれる。

ちなみに冒険者ギルド以外にも、いろんなギルドがある。

多重登録は問題ない


****あとがき****

更新は遅いです

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