第5話 初仕事

 ギルドにたどり着くまで、軽い質疑応答が続いた。俺のジョブや年齢など簡単なことをいろいろ聞かれ、それに答えていった。

 ギルドに辿り着き、受付嬢の下に向かい二人のネームタグを作ってもらう。

「これでギルド登録は済んだ。早速薬草採取に行くぞ。もう昼は過ぎてるから、夜飯分だけでも稼ぐぞ」

「「はい」」

 ギルドからその身そのまま出て行く。

「ご主人様、あそこのボードから紙を取ったりしないんですか?」

「ああ、あそこは今のランクでは使う必要はないな。俺たちのGランクがやる依頼は常設されてるからあそこからわざわざ取る必要はない。あそこにあるGランクが受けれる依頼の紙は担当の場所が書いてあるだけだ。だから、担当の場所に向かって必要な道具をもらってやるんだ」

「なるほどですね」

「と言うわけで、今から行くのは薬草採取の依頼を取り扱っているところだ」


 薬草採取の依頼を取り扱っている、薬屋に向かう途中、オーウェンとすれ違ったような気がする。

 関わりを持つのも面倒だし、見なかったことにして無視して足を進める。


「ご主人様、料理できる場所はご存知ないでしょうか。私は前世で料理をしていたので、夜ご飯代を少しは浮かせることができると思います」

「料理できる場所、か」

 覚えは無いけど、そういうのは商業ギルドに行って聞くか。多少、情報量を払わないと行けないけど、今後のことを考えるとまだ安く済むだろう。


「俺は知らないから、商業ギルドに行って情報を集める。薬屋に寄る前に商業ギルド前を通るから先にそっちの事情を済ませるか」

「ありがとうございます。追加で調味料や食材の手に入れ方も聞いてくれると助かります」

「あぁ、わかったよ。ついでに聞いてくる」


 2人を連れて、商業ギルドの中に入る。

 男のギルド職員がいる受付に向かい、話しかける。

「料理をしたいんだが、どこで料理ができるか知りたい。ついでに、食材と調味料の手に入れ方も教えてもらいたい」

「10リースだ」

 俺は鉄貨1枚を影から出して、机の上に置く。


「あんたら、冒険者でしょ?それなら料理できる場所は、この場所にある宿屋で借りることができる。それと、調味料はギルドの目の前の建物で、食材は南の大通りに面している店を回れば集まるだろう」

 彼はそう言って、×印を書かれている地図を渡してくれた。

 おそらくこの印がついてるところが貸してくれる場所なのだろう。

「ありがとう。助かった」


 受付から離れ商業ギルドから出て行く。

「と言うことだ。アリス分かったか?ちなみに今から通る道が南の大通りだ」

「はい。ありがとうございます」

 大通りを通っている時に肉屋や八百屋、パン屋などがあった。今まで薬屋に行くときには気にも留めなかったせいか、存在自体を知らなかった。大通りに面してるのに知らなかったとは、長い間この街に住んでいて恥ずかしいな。


 アリスが食材を覗き見しながらも進み、脇道に逸れて薬屋に辿り着いた。正面玄関から中に入る。

 相変わらず独特な匂いがする。俺はこの匂いが好きだけど、オーウェンは嫌いな匂いと言っていた気がする。

「いらっしゃい。欲しい商品はある?」

 カウンターにいる小さな女性が話しかけてくる。彼女は若々しい見た目をしているが、かなり歳をとっていると言う噂がある。

 なぜなら、彼女は長命で有名なエルフと言う種族と言う噂が流れているからだ。

 実際、俺も6年以上前から彼女を見ているが、一切見た目が変わっていない気がする。本物を見たことはないが、彼女はエルフと言われても違和感ないほど美しい人だ。


「いや、俺たちは今日冒険者登録をした新人だ。これから世話になるだろうから顔ぐらい覚えてもらおうかと思って立ち寄っただけだ」

「なるほどね。それじゃあこれからよろしく。薬草の量や種類によって手形を渡すよ。薬草はこの袋に入れて持ってきてね」

 彼女はそう言って、カウンターの下から袋を3枚渡してきた。

「ありがとう。早速集めて来るから、また後で立ち寄らせてもらう」


 薬屋を後にして、森に近い南門に向かう。

 門番の人にネームタグを見せて、冒険者ということを示して南門をくぐる。


「薬草は、あそこの森だったらどこでも取れる。奥に進めば進むほど、効果の高い薬草が生えている。だが、人間を襲って来るモンスターがいるから、Gランクの冒険者は手前で集めるのが常識だ」

 説明しながら森に向かう。アランとアリスの2人は静かに俺の話に耳を傾けている。

「これが薬草と言われるものだ」

 そう言って、葉先が丸みを帯びてハートマークになっている草を見せる。

「薬草は基本的にこの葉先の形をしている。それはどんな薬草でもだ。だが、色によって効能が違う。それさえ覚えていれば問題ない」

 俺はそう言って足元にある薬草を取っていく。

「ご主人様、取り方に工夫とかないんですか?」

 アランが質問してきた。

「あぁ、基本的には根を残して、茎部分を捻って取る。これぐらい薄い色はこの取り方で良い。だが、色が濃い場合は根ごと取った方が良いらしい」

「なるほどです。分かりました」

 それから時々休憩を挟みながら、3時間ほど薬草取りに励んだ。

 誰も薬草取りに最近来てなかったみたいで、薬草は森の入り口にビッシリと生えていた。

 三袋とも満杯になるほど入れ、それ以上の薬草は俺の影に入れてもらった。予想以上に薬草を取った。

「予想以上にとったな。時間もそろそろ良いころだし、薬屋に行って手形をもらいに行くぞ」

「「はい」」


 森を後にして、南門をくぐり、薬屋に向かう。



****設定****

システム


薬屋に薬草を持っていき、それに見合った手形をもらう。

その手形をギルドに持っていき、お金をもらう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る