第30話"浄化"と出会い①
※前半・主人公視点、後半・前世ムツキ視点
ーーーー
"魔王"の封印が解かれた翌日。
「
「おう。
私の問いかけにガルフォンは軽く答えた。
私とフィル君、ティティ、ガルフォン、"幻狼"のフゥはルティルナの都を一望出来る協会、私の世界のロンドンにある宮殿と北海道にある時計台を合わせたような
私は右手に新しく装備した日本の創作の忍者が身に付けている中指に指を入れる留め具が付いてる菱形の手甲に
この"杖"は【闇ギルド商会】に来た目的のひとつ"杖のスキル"がないと使えない魔法の使用時に減るHPの減少をさせない"魔法武器"で、ガルフォンが持ってる【魔石】は違うけど、フィル君の剣やティティの双剣も"
私は目の前の柱の間からルティルナの都と、さらに遠くの土地へ繋がる大地と空を見つめた。魔王の封印が解けたせいで瘴気がルティルナの都、ううん、ディアーナ王国全体に溢れだしてる。
「嬢ちゃん、結界はるぞぉー」
「うん。お願いします」
私とガルフォンが“浄化”魔法への準備を始めていると、
「ハル、大丈夫?」
「うん。
気遣うようにフィル君が問いかける、私は安心させるために微笑みながら答える。
そう、はじめてじゃない。
ムツキの時はまだ魔王が封印されていて被害は小さかったけど魔王城の周辺
ぼっふんっ!
ダンッ!
何も起きなかった爆音と的に矢が命中した音だけが辺りに響いた。
「また失敗かー、魔法って難しいぃ」
「ムツキが
「イグニ、そうなの?」
「はい。歴代聖女様達は個人差はありますが、魔力循環が出来るようになるまで早くて2週間、遅くて1ヶ月ほど時間がかかる
「そうなんだ。自分じゃ魔力の流れ感じられないから、よく分からないけど…」
ムツキはイグニが用意した
…ーこれは、まだムツキとイグニが旅立つ前、王宮の魔法訓練場で魔法の練習をしていた時の記憶。
「魔力の流れ…ですか。少し失礼します」
「イグニ?」
イグニはムツキの両手に自分の両手を重ねる。
「今からぼくの魔力をムツキに流しますね」
「えっ」
ムツキはイグニに両手を握られて頬を赤く染める。ドキドキと心臓が煩い。
「……あれ、温かい何かが左手から入って身体中をめぐって右手からイグニに戻ってる?」
「はい。ムツキが「温かい」と感じているのが魔力です。人によっては魔力の質は違うので「冷たい」や「熱い」と感じる魔力もあります」
「そうなんだ」
「今度はムツキからぼくに魔力を流して下さい」
「…出来るかな」
爽やかに微笑んでるイグニと正反対にムツキは不安そうに呟く。
「失敗したら爆発とかしない?」
「しませんよ。安心して、ね」
ムツキは眉毛を八の字にして自分より少し背が高いイグニを見上げるように問いかける。
イグニはムツキが先程の魔法失敗した時のように爆発しないか心配していることはすぐ理解出来た。
「やってみる」
ムツキは意識を集中するが、
「…………手元が「冷たい」だけで、身体にはめぐってこないですね」
「…はぁ、失敗かぁー」
「今度はぼくのおでこから魔力を流して下さい」
「ええっ⁉︎」
イグニは片手で前髪をずらし、おでこを見えるようにしてムツキの視線を合わせるように屈む。
王子様のおでこに触れるのぉ⁉︎と、ムツキの脳内で大混乱を起こしていると、イグニが「は・や・く」と瞳が訴えている。
「失礼…します」
「ん」
ムツキは瞳を閉じる「好みの顔」のイグニを直視出来ないので、視線を横の魔法訓練場の入り口の方を見つめて魔力を注ぐが、
「
「…失敗だよね?」
「ええ、でも」
「イグニーア様!」
イグニの言葉を遮るように可憐な声が響く。
「ルルリナ、どうしてこちらへ?」
「お取り込み中申し訳ございません」
わぁ、乳白色の肌、細くて長い睫毛と宝石のような薄紫の瞳、手入れされたくるくるふわふわな深緑色の髪とマーメイドドレスを身に付けた可愛らしい西洋人形みたいな女の子で、イグニの妹、レーナちゃんとまた違った魅力を持っているぁ。とムツキはそう思いながら「ルルリナ」と呼ばれた少女を見つめていると、バチッと火花が切るようにルルリナと目線が合った。
あれ?睨まれた?ムツキはそう感じたか、イグニは気付いてないようなのでスルーすることにした。
「ムツキ、紹介します。ぼくの
「初めまして聖女様。
「はじめまして、宮森睦月、18歳です。……睦月が名前で宮森が名字です」
ルルリナは優雅に慣れた手つきでドレスの裾を両手で持ち上げて、カーテシーの挨拶をする。何かを探るようにムツキを見つめる。
「ルルリナがムツキの魔法指導に参加したいようですか、大丈夫ですか?」
「
「えっ。あ、ハイ」
ムツキはルルリナの表向きの理由に隠された本当の理由を察したが、気付かないフリをして渇いた声で了承の返事をした。
イグニの婚約者ね。
まぁ、
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