第31話“浄化”と出会い②
「ムツキ、先程の続きですが」
「「…………」」
やっぱり、気付いてない。
さっきからルルリナさんから凄い圧を感じる。
「体内の魔力循環は出来ているので、身体の外へ放出する練習をしようと思います」
「練習?どうするの?」
「イグニーア様とムツキ様がなさっていたことと同じことを
ムツキの問いにルルリナが穏やかに微笑みながら答える。
「ルルリナさんと?」
ムツキの顔に「このままイグニじゃ、ダメなの?」と、疑問が思い切り出ていたので、
「ええ。…その、あまり気分を悪くなさらないで聞いてほしいんですけど…」
ルルリナは言いにくそうに、
「このディアーナ王国…いえ、この世界と、言ったほうがよろしいかしら、あんまり
「ルルリナの話によると、ぼくがムツキとふたりきりで魔法の指導していることに問題視する声が上がっているようなんです」
なんとなくイグニと一緒に王宮を歩いてる時に、周りから感じる視線でそんな気はしていたけど。
「
イグニはムツキの〈想い〉を代弁する。
「それは……そうですが、人々の〈想い〉も否定しないで下さいませ」
ルルリナもイグニの言葉に一理はあると、頭では分かっているんだろう、言い淀んで、自分も含め、周りの〈想い〉も理解して欲しいと、イグニを窘める。
「今の王宮の状況を解決するためにも、
そう言って花のように笑う少女は、ムツキから見ても恋する乙女だった。
そんなやり取りから3日後の午後、魔法練習場でムツキはルルリナと向かい合いながら、手を繋いで、魔力を身体の外へ流す練習していた。
イグニも近くでふたりを見守っている。
「"
「「"
とは?」
ムツキの何気ない呟きにイグニは「ですか?」と、ルルリナは「とは?」と、疑問符をうかべる。
「えっと、わたしの世界の創作の物語で、魔法を使うときに「
火だと「ファイア」水だと「ウォーター」傷を癒す魔法だと「ケアル」や「ヒール」とか」
「この世界に"呪文"は…」
「……ございませんね」
「やっぱり、そうか」
"
相手に魔力を流すことも上手くいかないし、どうしたらいいんだろう。
「ふたりは、どうやって魔法を使っているの?コツとかあるの?」
ムツキは悩んだ末にイグニとルルリナに問いかける。
「そうですわね。
ルルリナの中心に薄紫色の光が包み、光が消えると、ルルリナの両手におさまるぐらいの、
「わぁ、
「これは"創作魔法"と言って術者がイメージしたモノを生み出す魔法ですわ。
「ムツキ、見てて下さい」
イグニは左手に「
「ぼくが使った"戦闘魔法"と"創作魔法"それから
「イメージ?
イグニは「
「ええ、そうです。
ムツキ、試しに"呪文"を唱えながら魔法を発動してみて」
「"呪文"ないんだよね?」
「“呪文”の話を聞いてから、確認したいことがあるんです」
「……分かった?」
「?」
ムツキとルルリナはイグニが何を確認したいのが分からずにクエスチョンマークを浮かべる。
「火と土、聖属性魔法、どれでもいいの?」
「聖属性魔法は「聖女」しか使えない属性で、ぼくには確認し
「…分かった?」
(何を確認したいんだろう?)
ムツキは魔法失敗の爆発にふたりを巻き込まないように距離をとると、
(えーと、土魔法の“呪文”ってなんだっけ?
たしか…)
「「
ムツキの周りの
「ええっ⁉︎」
「まぁ!」
「……やはり」
ムツキとルルリナは驚愕、イグニはどこか納得した様子だった。
「えーと「
ムツキは戸惑いながら唱えると、ムツキの周りにボッボッと「
「イグニ、これって?」
「イグニーア様、これは?」
「恐らくムツキの中で“呪文”と“
イグニが地面にディアーナ王国の文字で「呪文=想像」と書く。
「“
地面の文字に「呪文=想像✖️」「呪文」の下に縦で=を書き「言葉○」を書き足した。
✖️は失敗で○は成功。
「このままでも問題ないの?」
「それは……魔物相手になるますと…」
ルルリナは言い淀んで、
「魔物も知能があると言われています。
“呪文”の後に魔法発動していることに気付いたら、ムツキが“
接近戦になったらムツキに不利なので“呪文”がなくても魔法発動出来るよう頑張ろう」
イグニは爽やかな笑顔でムツキに爆弾を落として、ムツキが“
その後、ムツキが〈ひとり〉で出立予定だった魔王【封印】の旅にイグニが護衛として同行を願い出て、急遽〈ふたり旅〉になる。
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