第17話悲劇の始まり

 ガルフォン視点

 ーーーー



「ルリーナ。大変だルリーナ!!」


 俺達が居間でティータイムをしてる時にぜぇはぁと息を乱してお父様と叔父様が戻ってきた。


「あなた!どうなさったんですか!?」

「魔王の封印が!!」


「ええっ!本当ですか!?」

「????」


 俺は驚きガルダは何も理解してなさそうだった。


 カシャン!


 お母様が持っていたティーカップが床に落ちて割れた。


「早すぎるわ!」


  【魔王の封印】は魔術師達の計算では3年後には"完全に封印が解かれる"と言われていた。前回の【魔王封印】からは


3!」


「私はこれから国王陛下に報告へ行く!

 ルリーナお前はガルジェタと子供達を連れて邸へ戻れ!」

「私も行くわ!先代国王陛下お兄様王妃殿下お義姉様が亡くなって王位を継いだアイルダはまだ19歳よ!」

「……ルリーナ。お前はもう臣下わたしの妻だ。王宮に行っても謁見するには時間がかかるぞ?」


 元王女のお母様が王宮に参内するには手続きだけでも早くて1ヶ月程時間が必要だった。


「お義姉様。ここはお兄様に任せましょう?」


 今まで何も言わなかった叔父様がお母様を宥める為に口を出してきた。


「あなたフィルシアールはたった12歳よ。心配だわ。私も連れて行って下さいませ。」


「……お母様っ」

「母さま?」


 俺とガルダは読書や刺繍が好きでおっとりしていたお母様が取り乱す姿を初めて見た。


「ルリーナ」

「……………………」


 お父様と叔父様がいいよどむ。


 現在王族の地位にいるのは若すぎる現国王陛下アイルダと幼い王弟フィルシアールの2人だけだったからお母様の心配も当然だった。


「無理を言っているのは分かっています。降嫁した身とはいえ私は2人の肉親です。あなたお願いします」

「………わかった。準備をなさい」

「ありがとうございます!」


 お母様は深々と礼をした。


「お兄様!お義姉様は私達子供達と一緒がいいんではないでしょうか!」


 リディエール家当主のお父様が了承したにもかかわらず叔父様はお母様を行かせたくない様子 だったが両親は準備の為に部屋から出て行った。





「お兄様待って下さい。考え直して下さいっ!」


  叔父様は両親ふたりが馬車で出発する時も必死に止めていた。





 そして




 俺達が馬車で移動している途中で王都方面から使者がやって来た。


「お父様とお母様を乗せた馬車が事故に遭ったって‼︎2人は無事なのかっ⁉︎」

「兄さま?」


「…………」


 叔父様は深刻な表情だった。



「……お亡くなりに…なり…ました」




 お父様とお母様が亡くなった。


「嘘だ‼︎」


 信じたくなかった。

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