第15話闇ギルド商会②
「「空間スキル!?」」
私とフィル君の声がかさなる。
「ご名答。ここは俺のテリトリーだ」
男は親指で自分を指してそう言った。
(空間スキルって私とフィル君の
フィル君は私を庇う様に前へ出る。
「…空間スキルはノーマルスキルの中でも上位のスキルだ。
【モノにスキルを宿す】だけならそうでもないがココの様な【異空間】を創ると魔力の消費が激しいだろ」
(そうだった【相性が合えば誰でも習得出来る】ノーマルスキルの中でも扱いが難しんだった。
完全に使いこなすには私の…聖女位の魔力が必要なんだけど…
この
【魔力枯渇症】はステータスの魔力を意味するMPの数値がゼロになると起きる脱水症状の様な禁断症状だ。
私は
「何が目的だ?」
フィル君の言葉遣いが荒くなる。
男はフィル君を品定めする様に眼を細めながら見ると
「それはー…テレポートされたら困るしなぁ」
男の口からテレポートと言われたと同時にブワッと私達の周りに台風の様な風が守る様に発生した。
男はフィル君を品定めする様に眼を細めながら見る、テレポートのスキルは王族の血筋のみが使える【ユニークスキル】だ。
「俺はー…まだ15歳で
男はフィル君の後ろに居る私を見ながら
「そっちの嬢ちゃんは【今代の聖女様】のハル様だろ」
「お前は誰だ?」
フィル君の今まで聞いたことがない低さの声だった。
“外”に出るには
私達もそうなのだからこの
(……体力も魔力と一緒に減るから“魔法武器”を待ってない状態で使わないほうがいいんだけど…私はまだ持ってない)
本来“魔法”の使用は魔力だけでは無く、体力も必要とするはずだった。
体力はステータスのHPを意味していて、この数値がゼロになると人は【死ぬ】事になる為、昔の人々は魔法を使っても、体力が減らない様に、仕組みは分からないが“魔法武器”を作って体力を必要としない様にした。
接近戦になる“短剣:短刀”の魔法武器で戦う事は
『力負けしたら危ない!』
って理由でフィル君に反対された。
魔法武器を持てる様にする為に遠距離戦になる“杖”のスキルがどうしても必要だったんだけれど…。
(時間はかけれない!)
聖女は体力も魔力も無限じゃない‼︎
私は辺りを見渡す。
(土…は、ない)
土属性の魔法だけ自然の土や岩が必要だ。
(なら!)
ゴウッゴゴウッ
私は蛇の様に渦巻く炎の魔法をフィル君の風の周りに発動して炎の威力と守りを強化した。
「………かた」
フィル君は驚いた顔で私を見て何かを小声で呟いたが
ゴーッゴゴーッゴーッ
ゴゴウッゴゴウッ
風と炎の音で聞き取れなかった。
「ヒュー、嬢ちゃん。虫も殺せなさそうなのに随分と交戦的だね。
ただ…まぁ“杖”がない状態で魔法使用はやめたほうがいいぜぇ」
「はぁ はぁ」
(思ったより…ごっそりと体力と魔力が減った…)
私から汗がダラダラと流れる。
そんな私を見てフィル君は男をギッと睨みつけて
ゴーッ ゴーッ
「くっ!」
カマイタチの様な風が男を攻撃して頬と腕から血がツーッと流れる。
「おいおい。俺はやり合う気はねぇぞ」
男は焦った様に両手を挙げてフィル君を見て
「やっぱり覚えてねぇかー。まだ6歳のガキだったしなー」
そう言った。
(えっ王族のフィル君と会ったことあるの!)
私はフィル君と顔に傷がある男を交互に見る。
「フィル君」
(この男って何者なの⁉︎)
私とフィル君はじっと男の容姿を観察する。
深緑の髪に薄紫色の瞳…
あれ?
この
見たような?
「あ!」
私は
くるくるふわふわな腰まで伸びた髪。
キラキラ光る小さなダイヤを散りばめて、大きな翡翠が付いたネックレス。
淡い水色と青色のレースやフリルが可愛らしいマーメイドドレス。
「リディエール公爵家?」
そうだ。
イグニの婚約者。
『ルルリナ•リディエール』
イグニの瞳と同じ色の翡翠を好んで身に付けていた。
異世界から来た私が家名を口に出した事でフィル君と男が驚いた顔で私を見ていた。
ヤバい。
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