第6話今代の聖女

 ※フィルシアール視点

 ーーーー



「この話はこの国の実話です」


 フィルシアールはそこで話に一区切りつくと、じっとハルを観察した。


 最初の聖女【聖なる少女】から歴代の聖女は例外なくだった。



(彼女もそうだった)


 フィルシアールは眼を瞑ると懐かしい光景が


『       イーディス』


 ぼく達を呼ぶ大きな真っ赤なリボンをした少女を思い出した。



 眼を開けると、もう一度じっとハルを観察した。


 今代の聖女:ハル・イチノセ


 年齢としは歴代聖女達と同じ18歳、身長は150㎝もないだろう、とても小柄で、ふわふわした肩まで伸びた髪、くりくりした大きな瞳


 どこからどう見ても彼女と正反対で僕と同じ"銀髪と緋色の瞳"を持つ少女…。



『フィル』


 自分の思想しそうもぐっていたフィルシアールの脳裏のうりに兄の声が聞こえる。


 :テレパシーの力だ。


特殊技術ユニークスキル】は特定の血筋、種族、ポジションのみ持ってる【技術スキル】の力だ。


『兄上。はどうでしたか?』


 歴代の聖女が黒髪と黒い瞳だったため、こちらの都合で召喚したにもかかわらず、今代の聖女は『本物か!偽者か!』と臣下達が僕が生まれた時と同じように騒ぎ出した。


 通常ならハルに説明した後に【水晶の間】に行ってするんだが、臣下達を静めるためにとはいえ、秘密裏にハルを鑑定をする事になった。


(今も昔も変わらない!!)


 そう思いながらフィルシアールはハルに気付かれないように拳を握った。



『レベルが最も高い人物ひとによる鑑定もはじいた事で、今代の聖女は歴代の聖女の誰よりも強い力を持ってる事が証明された』


 フィルシアールはハルに今後の事を説明しながら兄の声に耳を傾ける。


『その報告を受けた臣下達が               と騒いでる』


「…ーーっ!」


(聖女がどうかを疑っていたのに、今度はどうしてそうなるんだ!?)


 フィルシアールは兄の言葉に息をのんだ。

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