第77話 女だらけの買い物
今日はショッピングモールに3人でくるみの誕生日プレゼントを買いにいく予定だったのだが……。
「見てください天井さん‼︎ あそこにクレープがあります‼︎ クレープを食べましょう‼︎ 天井さんと一緒に食べてからクレープ大好物なんですよ‼︎」
「天井さん。あそこに可愛い服が沢山売っています。天井さん好みの服を選んでくれれば私、絶対着るので選んでください」
「あ、天井さん‼︎ あっちには駄菓子屋があります‼︎ みんなで買いませんか⁉︎」
「天井さん、あっちには下着屋があります。天井さん好みの下着を選んでください。選んでくれたら私、絶対着るので……」
「ああうるさいうるさい‼︎ 今日の目的忘れてないかお前ら‼︎」
俺たちはくるみに見つからないように3人で学校を出ようとしていたのだが、帰宅しようとしていた金尾と小波に見つかり、2人もくるみの誕生日プレゼントを買いに来ることになった。
この2人を誘わなかったのは仲間外れにしたというわけではなく、会話に収集がつかなくなるし誕生日プレゼントを買うという目的を忘れてはしゃいでしまいそうだったからだ。
その予想は的中してしまい、今まさに収集がつかない状況となっている。
「え、今日の目的と言えば美味しいスイーツを……」
「違う‼︎」
「天井さんに好きになってもらうために……」
「違う‼︎ くるみのプレゼントを選びにきたんだろうが‼︎」
「ま、まあ俺は別にいいよ。俺の用事にみんなを付き合わせてしまってるんだからな」
「瀬下はそう思うかもしれないけどな、せめて今日の目的を達成してから遊んでくれ」
「そうよ、くるみと瀬下くんにとって大事なことなんだから、ちゃんと考えてあげないと。それに小波さん、さっき藍斗に下着選んでとか言ってなかった⁉︎」
「言ってませんよ?」
「息を吐く様に嘘をついたわね今‼︎」
金尾の性格や小波の性格が原因というのももちろんあるが、人数が多ければ多いほどまとまりはなくなり収拾がつかなくなるのは仕方のないことだ。
3人で来ていればプレゼント選びに時間がかかることもなかったかもしれないのに……。
このまま5人でプレゼントを探していても無駄に時間がかかってしまうだけになってしまうと考えた俺はみんなに提案をした。
「よし、分かった。5人だといつまで経ってもまとまらないから2つのグループに分けよう」
5人で遊びにきているのにグループを2つに分けるのは申し訳ないが、こうでもしなければこのメンバーをまとめる方法がない。
「確かに、今の状況見たらその方がいいかもな」
「じゃあ私は天井さんと一緒にいきます」
「ちょ、ちょっと小波さん何言ってるんですか? それなら私も天井さんと一緒に行きます‼︎」
「だからお前ら、目的を忘れてるだろ⁉︎」
俺と一緒のグループになりたがってくれているのは嬉しいが、今はとにかく早くくるみのプレゼントを選びたい。
「それならジャンケンで決めたらいいんじゃない?」
俺たちの会話を遮る様に飯崎がジャンケンをしようと提案してきた。
全くまとまりのないこいつらを平等に2つに分けるには運で決めるしか方法はないかもしれない。
「そうだな。それで行こう」
「天井さんがいうならジャンケンでも構いません‼︎あ 天井さんと同じグループになってクレープ食べに……」
「行かないからな」
「ひ、ひどい⁉︎」
「私も構いません」
皆の了承を得てから俺たちは、ジャンケンでグループを決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます