裏話No.4:本当の目的

 



 このまでの数話は、所謂『クレアリンゼ回』でした。

 少し前に出ていた「『保守派』の企み」それがやっとお披露目され、同時に解決するというまさかの電撃展開です。




 ここまでワルターとクレアリンゼ、それぞれの見せ場を作ってきましたが、その理由は「やりたい事は似ているけれど、その方法がちょっと違う2人」を見てもらいたかった。

 そんな作者の気持ちがあったからです。


 この2人のやりたい事を実現する為の方法論は、セシリアが少しずつ受け継いでいる部分でもあります。

 つまり「ワルターはこういう方法で攻める人、クレアリンゼはこういう方法で攻める人。じゃぁそれらを受け継いだセシリアの、本気の攻めや如何に……?」という展開にしたかったのです。


 という事で、今回は長くなった本編から2人の方法論の違いをちょっと解説しつつ、おさらいしていただこうかなと思います。



 簡単に言うと、ワルターは『事実』と『正論』を軸にして相手を追い詰めていくタイプ。


 それに対してクレアリンゼは、高い読心能力を活かして相手の思考を誘導していくタイプです。




 『事実』を元に攻めるワルターは、生まれ持った思考力の高さを活かしてあらかじめその人が辿るだろう道筋をシミュレートし、それに伴って必要になる証拠を全て事前に用意してから本番に臨みます。


 完全なる事前準備型です。

 


 対するクレアリンゼは、現場で相手の感情や出方を見ながら臨機応変に対応する人です。


 もちろん事前準備はするのですが、それはあくまでも其々個々の独立した情報や交渉カードを持っているというだけに過ぎません。


 物事が『効率的』に進む為なら、多少の嘘やハッタリ、駆け引きも使い、相手の感情を揺さぶっていき、望んだ結果を手に入れる。

 

 つまり、真っ向から事実を突き付けるところから始まるワルターとは違い、彼女は典型的な社交手腕で事を成します。



 因みに、この2人がめでたくゴールインした馴れ初めも、この辺の性質がちょっと関係しています。


 実はその片鱗をクレアリンゼがワルターのやらかしについて語る所や、セシリアが初めて外でのお茶会に参加した際に描いた「ヴォルド公爵夫人とクレアリンゼとの社交に関する姿勢の違い」なんかで小出しにしていたりもします。



 ……なんて事を書いていると、2人の出会い〜結婚編を短編サイズの連載で投稿したくなってきてしまいますが、それが書けるのはもう少し先になりそうです。

 



 さて。

 物語の本編は、遂に『王族案件』の判決を迎えました。

 しかしここで終わるほど、事は簡単ではありません。



 そう、セシリアをこの場に引っ張り出した『本当の理由』。

 それが主軸となり、もう一悶着起こります。


 そして次話からは、やっとセシリアの出番でもあります。



 彼女が謁見の場で一体どの様に振る舞うのか。

 それを、事前の作戦立案風景も所々おり混ぜつつお送りしていきます。


 オルトガン伯爵家の総力を結集した物語の結末を、是非とも見守ってあげてください。


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