裏話No.15:オルトガンへの羨望は
今回はテンドレード侯爵・ノートンの1人語り回でした。
彼の思惑と手口の全容がこれでお分かりいただけていると良いのですが……。
さて。
物語の本筋は「セシリアに対して巡らせた策略」についてですが、此処ではちょっと別の所に触れていきましょう。
そう、ノートンの親心についてです。
ノートンは本編でも触れた通り、子供の頃(厳密に言えば学生の頃)に仲良くしていた子息達が何人か居ました。
唯一無二の友人だと思っていた訳ですが、彼にもひょんなことから孤立する様な事態になります。
クラウン程大事では無かったですが、アレの簡易版だと思っていただければおそらく想像は合っているかと。
つまりは「ちょっとテンドレード侯爵家の旗色が悪くなってしまって『旨味』が無くなって来たから一度距離を取ろう」という感じです。
ノートンからしたらショックですよね。
だって普通に仲の良い友達だと思っていた相手が、ちょっとしたことで急によそよそしくなる……。
それ以降、ノートンはあまり踏み込んだ友達付き合いはしなくなりました。
勿論貴族としてや『保守派』筆頭としてすべき事はきちんとします。
交流だってします。
しかしそれ以上はしない。
相手に期待しない。
そんな感じです。
そして「同じ苦しみを味わってほしくない」と、テレーサの友人関係に関しては少々過保護になりました。
テレーサがあんなにも『対等』な友人を望んでいた事の裏には、ノートンの暗躍や思惑があったという訳です。
(因みにテレーサはその事に、気付いていません。きっと知らぬが仏です)
まぁそれだけテレーサの事を可愛いと思ってるんでしょうがね。
それにしたって愛が重い。(笑)
その癖立場が邪魔して肝心な所で『父親』が出来ていないのだから困ったものです。
テレーサの弱点を指摘してやるのなんて、本来は間違いなく親の仕事ですからね。
セシリアの目を欺くためとはいえ娘を騙すのもどうかと思いますし。
結局は小心と立場と親心が何だか絡まりまくってしまっているのが、ノートンという人なのだと思います。
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