第5話 幼女と盗撮

 コンビニで立ち読みをしていたら、翔子しょうこからLIN〇が届いた。


翔子:『弟にお使い頼んだ。ナプキンとプリン!』

翔子: ぷぷぷと笑っているスタンプ。


七海:『どこ? 暇だから見に行こうかな?』


翔子:『市立図書館からの帰り。ドラッグイシイからとりたま。』


七海:『近い。車で5分。間に合うかな?』


翔子:『余裕。まだ図書館出たばかり。写真撮って~。』


七海:「了解」のスタンプ。


 途中まで読んでいた雑誌を購入して車に乗りコンビニエンスストアからドラッグストアへ向かう。

 ドラッグストアに到着。弟の涼くんはまだのようだ。店内へ入る。

 写真にとるところを見とがめられるとマズイので、事前に店員さんへ話しておくことにした。私や翔子、涼くんのことを知っている顔見知りの店員さんなので大丈夫だろう。

 LI〇Eのやり取りを見せたら店員さんも笑ってO.K.してくれた。後は涼くんを待つだけ。


 しばらく待つと店内に涼くんが入ってきた。私とはちょっと会ったことがある程度なので多分覚えていないとは思うが、念のため死角に隠れて様子をうかがう。


 写真を撮るとシャッター音でばれてしまうので動画で撮影することにした。動画から静止画を作ることはできる。シャッター音も消せるらしいが使う場面が無いので調べていない。盗撮は犯罪です。まあ、今から盗撮するのだけど…。


 涼くんの後を追って生理用品コーナーへ突入してびっくり。涼くんがナプキンのあるあたりより少し手前で立ち止まっていた。

 むむっ! ナプキンの棚の前に小さな女の子が立っている。そして向こうの方では例の店員さんがしゃがんで作業をしながら様子をうかがっている模様。

 ちなみに、私はすでに動画の撮影を開始している。

 涼くんは女の子に気を取られこちらに気づく様子はない。


 女の子の方へと歩き始めた涼くんの後を追う。


 ナプキンを手に取った涼くんが女の子に話しかけられた。


 そーっと二人に近づいて行く私。


 ナプキンの棚の前で、ナプキンについて会話する小さな女の子と美少年。

 私はとんでもないものを撮ってしまった。笑える。


 どんどん近づいて、最終的には二人の間から手を伸ばして同じものを買ってしまった。テンションが上がって、調子に乗ってしまった。

 立ち去りながら撮影終了。ほとんど画面を確認せずに撮ったのでうまくとれていればいいけど。


 レジでは私の後ろに、女の子、涼くんと続いて並んだ。テンションが上がったままだったせいか、レジのお姉さんに一発ギャグをかましてしまった。


 店を出て、車に乗る。動画から静止画を作ろうとスマホを操作していると、涼くんが女の子と手をつないで店から出て来た。何故? ナプキンが縁で仲良くなった? そんなばかな。


 手をつないで歩く女の子と涼くん。つないでいない手にはナプキン。そしてこの後とりたま(ケーキ屋)?


 先回りしよう。






〈レジの店員さん(ドラッグストア)〉

******************************

 平日の昼過ぎ。お客さんは少ない。

 子供が一人で店に入ってきた。親は見当たらない。おつかい?

 美少年が入ってきた。時々見かける子だ。美人の姉が一緒のことが多い。

 しばらくして、若い女性(大学生?)がレジへやってきた。その後ろからさっきの女の子、さらに美少年。あ、美少年が先輩に呼び止められた。


「ジェットストリームアターック! …シールで。」


 若い女性が訳の分からないことを言いながらナプキンを置いた。

 ナプキンにシールを貼ってお釣りを渡す。


 次は女の子。ナプキンだ。全く同じナプキンだ。


 値段を聞いてプリンが買えないと呟いた女の子に10枚入りを勧めたが、そのまま40枚入りを買っていった。


 そして、美少年である。まさかのナプキンである。40枚入りのナプキンである。


「レジ袋お願いします。」


 思わずレジを通す前に代金を言ってしまった。

 美少年が財布からお金を出す。

 赤い!赤い財布だ!

 通常の3倍の速さでお金が貯まる? いや、出ていく?

 何とか噴き出すのはこらえたが美少年には笑いをこらえたことがばれたみたいだ。

 ちょっと悲しそうな表情で去っていった。


「坊やだからさ…」


 私はそうつぶやいて美少年を見送った。特に意味は無い。

 

******************************




 とりたまの駐車場に止めた車の中で涼くんたちを待つ。

 涼くんが来た。女の子も一緒だ。1枚くらい、正面からの写真を確保しておこう。車の中から写真を一枚とっておくことにした。

 録画の準備をして、タイミングを見計らい車から降りた。撮影しながら2人の後に続いて店へ入る。


 涼くんが女の子に話しかけた。女の子からの返答がひどい。

 小さな女の子と美少年がナプキン片手に生理の話をしているよ。…ケーキ屋で。


 外で生理の話題は良くないと注意したそばから、また生理の話をしている。わざと? わざとなのか涼くん? 周りの人たち、聞き耳立ててるよ! 店の中の空気、固まってるよ!

 あの翔子の弟である。メンタルは強いに違いない。それに、よく考えたらおかしいのは女の子の方だ。涼くんは女の子が言ったことに答えているにすぎない。なんだか会話がぶっ飛んでいて私も混乱してきた。


 2人が店を出て行った。私も急いでプリンとロールケーキを2個ずつ買った。

 常連なので店員さんとも顔なじみである。涼くんもよく来るらしい。念のため動画を撮っていたことと、その訳を説明してから店を出た。


 まだ歩いている2人が見えたので後を追うことにする。どうして2人が一緒なのか気になったので、一応 見届けることにしたのだ。

 女の子が家の中に入っていった。涼くんが送ったということだろう。


 車へ戻り、翔子にLIN〇を送る。


七海:『任務完了! 動画撮ったから送る。』

七海: 動画1

七海: 動画2


翔子:『ありがとう。見てみる。』


七海:『ものすごいの撮れた。』


・・・


翔子:『笑い死んだ。なぜ幼女と一緒?』


七海:『近所の子。送ってた。』

七海:『なぜ送ることになったのかは不明。』


翔子:『涼には内緒にしよう♡』

翔子:『最高のタイミングで見せる♡♡』


七海:『どんなタイミングよ?』


翔子:『わからん!』

翔子:『とりあえず、しばらく寝かす♡』


七海:『正面からの写真も1枚だけ撮ったけど』


翔子:『近所だし会うかも♡』

翔子:『送って送って♡♡』


七海: 写真1

七海:『明日大学に顔出す?』


翔子:『行く!』

翔子:『みんなに動画見せてあげよう♡』


七海:『じゃあ、学校で。』


翔子:『また明日。ありがとね♡』


____________________

ケーキ屋の店員さんから見た二人も妄想したけどわちゃわちゃしそうなので諦めました。ドラックストアの店員さんもいらなかったかな。

ジェットストリームアタック、いらなかったかな?

私はガン〇ムちゃんと見てない。

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