支え
勝利だギューちゃん
第1話
「もう、私の役目は、終わったね」
それが、彼女の最後の言葉だった。
作家を目指したいた僕を、彼女は支えてくれた。
時に厳しく、時に優しく、叱咤激励をしてくれた。
そのおかげで、どうにかデビューをすることができた。
これから、彼女に恩返しをしようと思っていたが、
突然の別れの言葉にショックを受けた。
しかし、その本当の意味を数日後にしる。
彼女はあの日の夜、病院で静かに旅立った・・・
彼女は、もともと長く生きられる事は出来なかったらしい。
でも、自分の生きた証を残したかった。
でも、もう時間がない。
そして、その生きた証が、僕を作家にすることだったらしい。
「もう、自分のためだけじゃないな」
彼女が残した、作家という僕を、彼女に恥じないためにも、素晴らしいものにしたい。
そう思い、僕はそれまで以上に努力をした。
当たり前だが、道のりは険しかった。
誰も歩いていない道なので、舗装されてなくて、当たり前。
しかし、時々ある給水ポイントに助けれた。
無我夢中で歩いてきて、いくつもの月日が流れた。
浮き沈みの激しい厳しい世界。
それでも、まだ生き残ってこれたのは、彼女のおかげだと思う。
そして・・・
僕は、ようやく結婚することとなる。
馴れ初めは、取材。
意気投合をし、ゴールインした。
いや、この言い方は、間違えてるな。
そして、娘が生まれ、その子に彼女の名前を付けた。
「幸美(ゆきみ」」と・・・
ある日、仕事が落ち付いていた僕は、幸美をあやしていた。
とても、かわいい顔をしている。
幸美は、僕を見つめている。
何かを言いたそうだ。
でも、なんとなく、わかってしまった。
『・・・くん、向こうから見てたよ。
がんばってるね。
でも、君にはまだ、私が必要みたいだね。
これからは、彼女でなく、娘として、家族として、君を支えるよ。』
支え 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます