第8話
「ちょっと待って」
「お前は一度了承した。だからもう断る事は許されない」
「ちょっと」
「テストは2週間後で前と同じ3教科英語、数学、国語で勝負だ。以上」
俺はそれだけいい残しその場を立ち去った。
俺は家に着くとサンドバッグを殴っていた。
『ろくでもねー。ろくでもねー。本当にろくでもねー女だ。だが今回の勝負は俺が勝つ』
次の日クラスに入ると皆から殺意の目を向けられた。
端から見れば何故俺がきれていた理由など分からないから、その目は当たり前だがな。
栗山と和田はいつも通り過ごしている。
ただ一つ違うのは俺が栗山の席に行かないし、向こうもこちらに来ない。
それから地獄は続いたがようやくテスト当日を迎えた。
俺と栗山は教壇の前に立ちテスト用紙を見せ合いを初めた。
「「せーの」」
二人の掛け合いで最初に出した科目は国語だ。
結果0対90で俺の負け。
「栗山相変わらずいい点採ってるけど、このままだとまずいんじゃないの」
栗山は無言だがテストの見せ合いは続いている。
次は数学結果0対98俺の負け。
最後の科目も見事に俺が負け、全科目大敗をくらった。
「栗山何でお前はいい点を採るんだ。悪い点を採れば俺をこの学校から排除出来たんだぞ」
「……」
「何でか。それはお前が将来医者を目指す為だからな」
俺は一番最初赤点を二人で採った時に職員室で先生から聞かされていた。
何でも栗山の家系は医者一族で生まれた瞬間に勉強勉強とどやしつけられているらしい。
そんな家で赤点何て採ったら酷いものだろう。
「負ける事に関して俺に負ける事など不可能。俺は生まれた時から負け続けているからな。この勝負俺の勝ちだ」
栗山はただ俯いているだけだった。
「栗山さてと俺に詫びてもらおうか」
「……」
クラスの皆が俺達を見ている。
「栗山それが嫌なら」
「嫌なら?」
栗山はボソッと答えた。
「俺と友達になってくれませんか?」
俺は最高の笑顔で手を差し伸べた。
『パシン』
差し伸べた手を思いっ切り弾かれた。
「あんた本気?」
「本気だよ」
「あたしあんたにあんなに酷い事したのに」
「勉強」
「勉強?」
「そう勉強教えて欲しいんだよ。今回も赤点採っちゃたから」
「しょ…しょうがないわね」
俺達は和解と言う形でいじめ問題は解決した。
『あの女何でいつもいつも上から目線何だよ。なめやがって。最初から悪いのは俺じゃなくてあいつなのに。しかもあいつ最後の最後まで詫びてないし。腹立つわ。腹立つけど今回は見逃してやるがな』
俺は帰ってサンドバッグを相変わらず叩いていた。
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