第3話

 さてとどうしたものか。

 俺は昨日考えた。

 陰キャの俺に出来る事それは。

『痛ーい』

 それは陰湿で相手の身体と心を痛める事だ。

『誰よ。上履きの中にクルミ入れた奴は』

 そのクルミを砕いて食べる様に、お前の心も砕くという意味があるのを知っているのは俺だけだがな。

 栗山はその後クルミを割って美味しく食べました。


 次の日に俺は黒板に『栗山京香』は赤点を採りましたと大きく赤字で書いた。

 これは精神的な攻撃だ。

 栗山よりも先に先生が先に入ってきて黒板を見て『みんな知ってるだろうこれ』とぼやいて消した。

 そうだった。

 先生は赤点者をみんなの前で公表してたんだ。

 その後俺は栗山に消しカスを投げたり、下駄箱の中に重めの石を置いたりと陰湿のいじめをしていた。

 

 先生から放課後職員室に呼び出され俺達は先生の目の前にいる。

「嫌ですよこんな奴と。最近あたしに嫌がらせする奴と行くなんて」

 栗山が俺の顔を睨み付けてきた。

「……」

 先生から栗山の成績が悪いので気晴らしに遊び行って来いと提案があり、何故だが知らないが俺も同行しなくてはいけないのだ。

「お前一人じゃ危ないし、こんな奴でもいるだけマシだぞ」

「それでも一人の方がマシです」

 俺は無言で二人のやり取りを見ていた。

「取りあえず強制でお前ら二人で動物園行って来い」

 栗山は納得していない様子だったが無理矢理了承していた。


 家に戻るとサンドバッグタイムが始まった。

『何で俺があいつと一緒に動物園に行かなくちゃ行けないんだよ。俺だって嫌だし全然行っても楽しめねーっつうの。何で強制なんだよ。マジでふざけんなよあの担任。しかもあいつも嫌がらせに気付いていたなら俺に一言言えってんだ』


 それから俺は陰湿な嫌がらせはしなくなり動物園当日を迎えた。


 俺は先生から指定された動物園の入口で栗山を待っていたが、あいつ全然来ねーわ。

 ドタキャンでもするんじゃねーのか。

 こちらに向かってゆっくりと歩いてくる女性がいた。

 待ち時間をとっくに過ぎているのにだ。

 俺の正面に辿り着くと、何も言わずに一人で動物園に入っていった。


「取りあえずどうしよっか?」

「あんた女の子前にしてるのにいきなり相手頼みはないでしょ」

 俺は今日サンドバッグでストレス解消する事を決定した。

「それじゃあ最初は百獣の王ライオンからせめようか?」

「ヤダ」

 わがままもいい加減にしろよ。

「それじゃあ見ている人全員を癒してくれるレッサーパンダは?」

「ヤダ」

「あのーそれじゃあ何がいいのかな?」

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