第4話 紳士の提案
「ご不満でも?」
「ええ」
即答である。
「あなたの言っていることを疑うわけではないけれど、父がそんなことを承諾したはずが無いし、第一…」
私は一度呼吸を整えた。
「私だってそんなはた迷惑な権利ごめんだわ」
真城は父親の葬式にそんな啖呵をきる私を面白そうに見つめた。
「誠人様が言ったとおりですね。」
そういうと、彼は笑った顔から真剣な顔へ変わった。
「すぐにとは言いません。そんな名前しか知らない学校の権利をもらっても仕方が無いでしょう。では―――」
真城さんが言葉を言っている途中に彼の間に大きな物体が立ちふさがった。
まだ泣きあとが目の周りにはっきり残っている、雷蔵である。
私は話が聞きたかったのでどかそうとすると、雷蔵は私を後ろへ下がらせた。
「何してんの?」
「どうせ、親戚連中が保険金目当てに君を引き取りにきたんだろう、そんなことはさせないから安心して!」
雷蔵は鼻息を荒くしながら真城をこれでもかというほどにらみつけていた。なんとも滑稽な姿だが有り難いやつである。
一方、真城はそんな雷蔵を優しそうに見つめていた。
「貴方のことも存じておりますよ。土方雷蔵様でいらっしゃいますね」
雷蔵は自分の名前を言われきょとんとした。
私はその隙に手を振り払い、真城に詰め寄った。
「続きをどうぞ」
真城はそうですか、と言って私と雷蔵に話し出した。
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