エピローグ
パパとママの感動の再会は、涙なくては語れない。あたしたちの前だというのに抱きあう二人に感動しちゃった。あたしの任務は失敗しちゃったけれど、結果としては、これでよかったのかもしれない。
アイビーはアパートをかりたものの、ご飯はほとんどうちに食べにくる。ママの作るご飯もおいしいけど、天界で料理長をしていたパパの手料理は、外食をしているような錯覚におちいるくらいおいしいの。これには、食いしん坊のアイビーも大満足だったよ。
そして。あたしはね、人間にもどる決意をしたよ。でも、アイビーが言うには、まだもう少し天使のままでもいいんだよって、教えてくれたの。
あたしはまだ、空を飛んだことがないから。一回でいいから、空を飛んでごらんって言われたんだ。本当なら、いっしょに飛びたかったけれど、もうできないから、すてきな夜に星空をながめておいでって。
ほら、やっぱりアイビーって本当はすっごくやさしいでしょう? 好きになっちゃうよね。でも、もう、あたしだけのアイビーだから、他の人にはやさしくしないよっていう約束をしてくれたんだ。それが、あたしがアイビーにとっての特別なんだって。
今夜は天気もいいし、星座はあまり得意じゃないけど、やみくもに空を飛んでみるのも悪くないかなって思ってる。きっと、すごくきれいなんだろうなぁ。
いつの日か、あたしがおばあちゃんになって、アイビーがおじいちゃんになったら、かわいい孫にそうっと教えてあげるの。あたしたち、本当は天使だったんだよって。だから、今夜の空中散歩、たのしみにしてるの。
おしまい
天使は秘密をかかえてる 春川晴人 @haru-to
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