第63話 すべてが分かった上で

 背中の痛みにたえているうちに、ミチルちゃんの思念が伝わってきた。


 どうしてあたしを嫌うのか。黒羽根の天使の正体は、ミチルちゃんだった。


 ミチルちゃんから見たら、あたしは光だった。どうしてあたしなんだろう?


 ミチルちゃんの恋をかなえてあげたかったのに、ミチルちゃんも天使だったなんて。ああだけど、ミチルちゃんはこんなにたくさんの痛みにたえてきたんだね。こんなにもたくさんの苦しみにたえてきたんだね。


 あたしの羽根をむしり取って、それでもまだ痛みを抱えている。アイビーを取り込んで、それでもなお、苦しみの中にいる。


 どうしたらその痛みと苦しみを取り除いてあげられるのかな? あたしにできることって、ないのかな?


 ねぇ、あたしいつも、ミチルちゃんにやさしくされて、話を聞いてもらえて、うれしかったんだよ。だって、小学生の時はともだちがいなかったから。あたしはひとりぼっちだったから。だから、ミチルちゃんは特別なの。あたしの特別。だから、あたしにできることならなんでもするよ?


 ミチルちゃん、どこにいるの?


 ねぇ、ミチルちゃん?


 あたし、にぶいから、みんなをいらだたせちゃうことばっかりだけど、それでも、これだけはわかるんだ。


 あたしは、ミチルちゃんが大好きだよ。どんなミチルちゃんでも、大好きなんだよ。たとえあたしのことを嫌っていても、それでもあたしは、大好きなんだよ。


 ミチルちゃん。だーい好き。


 背中が、熱くなってきた。なんだろう?


 つづく

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