またあたらしい朝が始まる
第39話 そしてまた朝はやってくる
あたしは、目覚めはいい方だと思う。たぶん。だけど、ゆうべの夢を思い出すと、おもわず十字架を握りしめてしまう。
もうひとりのあたしがいて、すごくいじわるそうなその子を、あたしは受け入れた。きっとその子もあたしの一部だから、あんまり出てこないように気をつけなくちゃ。
あとは、黒羽根の天使かな。なんだか昨日の夕方見た時よりも人間の姿を保てなくなっているみたい。
あ、そうだ!! 今日の放課後は、いじわる三人組とあたしのママとで面談があるんだった。いっけなーい、すっかり忘れていたよ。
わたわたとしたくをして台所までいそぐと、やっぱりもうごはんを食べおわったアイビーとはちあわせた。
「おはよう、ユイナ。昨日は散々だったわね。さて、今日はいじわる三人組をとっちめてあげなくちゃね」
ママ、本当は今日も仕事なのに。あの三人のせいでって、いっけない。こんなふうに考えていたんじゃ、あのいじわるなあたしが出てきちゃうじゃない。
そこまで思い至ったところで、額をアイビーにでこぴんされた。
「おまえは笑っておきゃあいいんだよ」
「え?」
「そうよ。ユイナは笑っていなさい」
ママにまで言われちゃって、とりあえずうなずくしかないあたし。だって、笑う門には福来るって言うじゃない。だから、がんばって笑うんだ。
「がんばることはない。自然に笑え。でないと、黒田にモテないぞ?」
「あらあら。アイビーったら、恋愛スキルまであるのね」
ママはそう言ってからからと笑うと、あたしにも笑うようにうながした。でも、今は引きつった笑い方しかできないや。
今は黒田くんのことより、放課後の面談の方が憂鬱だよ。まったく、アイビーがモテすぎるせいでひどい目にあっちゃった。
「放課後はきちんと学校に行くから、ユイナはなにも心配しなくていいのよ?」
そう、ママのそのどこか勝気なスタイルに不安を感じちゃうのは、十四年間いっしょに暮らしているからなのかな?
とにかく今日が無事におわりますようにっ!!
つづく
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