第31話 羽根

 あたしの羽根が黒く染まる。染まった分だけ重さが増して。失敗したのはあたしのせい。あたしが泣いたら、羽根が染まる。あたしが悪いの。あたしが悪い子だから、パパは帰って来れないの。


 ねぇママ、あたしがにくい? パパと会えなくなって、あたしがにくい? だって、あたしさえ生まれなかったら、パパが天界に連れ去られることはなかったんだから。


 だから、ねぇ。本当のことを言ってよ。あたしが悪いんだって。はっきり言ってくれないと、気持ちに整理がつかないんだもん。


 あたしは、あたしが悪い子なの。


 お皿を割ってごめんなさい。大好きなバラの絵が描かれたきれいなお皿。あたしが割って、こまかくくだけた。


 あたしは、あたしが――。


 つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る