第4話 混乱

次の日の喫煙所。マコト一人が座っている。

彼の右頬は痛々しく腫れ上がり大きなガーゼがついていた。しかし、彼が気がかりなのはこの傷よりも飛鳥のことだった。

もうあえないなと気になって一睡もできずにいたので意識が朦朧として考えがまとまらなくなっていた。

そのとき

「おい」

 隣にいつものように飛鳥が座っていた。

「飛鳥さん!!」

「ほら」

 びっくりして混乱しているマコトを横目に、飛鳥は一本煙草を渡した。

「昨日言ってたろ?」

「あ・・・どうも・・・」

 マコトはその一本の煙草をじっと見て、ゆっくり飛鳥のほうに目を向けた。

 何事もなかったかのように彼は煙草を吸いながら虚空を見ている。

 しばらくその状態か続いた。

「この煙草、いい味ですよね。」

 飛鳥はマコトのほうを向き、顔をしかめた。

「まだ火ぃつけてねえのになんでわかるんだ。一度吸ったことがあんのか?」

「いえ、昨日飛鳥さんとキ・・・」

 飛鳥はマコトの言わんとしていることの想像がついたのか言っている途中で思い切り頭をはたいた。

「痛っいな、何するんですか?!」

「うるせぇ!!!」

 そう叫ぶ飛鳥の顔はまた真っ赤になっていた。

 マコトは思わず顔がにやけてしまう。

「可愛いな・・・」

「黙れ!殺すぞ!!」

「ハハハ・・・」

 マコトが笑い、飛鳥が怒鳴るのがひと段落すると、二人はまた正面を向いた。

 マコトはもらった煙草に火をつける。

そして、紫煙がまわりを漂って線を描くのを彼はぼうっと見ていた。

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