第3話 反撃を受ける

マコトは顔をゆっくりと近づけて飛鳥の唇を塞いだ。


 唇が触れた瞬間から時が止まったかのように周りの音が聞こえなくなった。

 しばらくして、飛鳥がマコトを跳ね飛ばした。

 マコトは運悪く椅子に肩をぶつけ、痛さのあまり下を向いた。

「いたい・・・」

「どういうつもりだよ、お前・・・」

 マコトがゆっくりと顔を上げると起き上がった飛鳥が彼に背中を向けていた。

「なんか、したくなったから。」

 マコトはさらりと正直に言うと、飛鳥がかっと振り返った。

 飛鳥の顔は、真っ赤に染まっていて、頬に目の端にたまっていた涙が流れ出していた。

 マコトはその顔を見て鼓動が更に早くなるのを抑えきれなかった。

そのまま彼のほうへ行き両腕をつかみ、壁に追いつめてもう一度、今度は強く唇を押し付けた。

飛鳥は懸命にマコトの両手を払いのけて顔面に拳を一発いれた。

 マコトもさすがにこれでは動けず、その間に飛鳥は走り去っていった。

 彼は右頬を押さえながら自分のやったことを頭の中で反芻した。

「・・・やっちゃった・・・」

 マコトは左胸に手を当てながらうずくまった。

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