三人で仲良く、お疲れ様でした!
「おっ!? しずくちゃんからそんなことを言ってくるだなんて、珍しいね! どうぞどうぞ、出しちゃってくださいよ!」
「あ、ありがとう……! えっと、これなんだけど……」
勉強のためでもなんでもなく、純粋にみんなに紹介したいマシュマロがあるといった感じのしずくの態度を歓迎した枢が彼女を促す。
嬉しそうに声を弾ませたしずくは、マシュマロボックスの中からどうしても紹介したかったお便りを取り出すと、それを画面に表示してみせた。
『へっへっへ、まともにできた友人の味はどうなんや、お三方(甲高い声で)』
「ふふっ……! 言い方はちょっとあれだけど、これって……」
「うん。ボクたちのことを祝福してくれてる……よね?」
少しだけ変わった文章ではあるものの、【Milky Way】の結成を心から喜んでくれていることが伝わるそのマシュマロを読み上げたしずくが芽衣と共に笑みを浮かべる。
枢もまた小さく微笑みを浮かべながら、敢えて何も言わずに彼女の話に耳を傾けていた。
「これ以外にもいっぱいね、芽衣ちゃんと枢くんっていう友達ができたことを祝ってくれるマシュマロが届いてるんだ。最初に紹介した杞憂系願望押し付けクソマロ? みたいなやつもちょこちょこ送られてきてるけど……でも、それよりも沢山の人たちが、二人と一緒に遊んでるボクが楽しそうでよかったって、そう言ってくれてるんだ」
「ふふっ! しずくちゃんのところのファンの皆さんに認めてもらえて、私も嬉しいよ!」
「本当に、その……ボク、今まで絡める人がしゃぼんさんしかいなくってさ、あんまりコラボとかもやってこなくって、基本は一人でゲーム配信ばっかりしてたから……【ペガサスカップ】を機に同い年の二人と友達になれて、しかもこんなふうにマシュマロ配信だとか、お揃いの衣装を発表したりするようになったりするだなんて、想像してなかった。ゲームをしてる時と同じか、それ以上に楽しいって思える時間を過ごせることが、本当に嬉しいんだ」
【ウオミー……(涙)】
【絡む相手が年上&配信頻度低いしゃぼんしかいなかったっていうのが何ともな。こうしてVtuber活動を通じてできた同い年の友達と楽しく過ごしてる姿を見れて、俺たちも嬉しいよ】
【これからも三人で楽しく配信してくれ。男と絡むなだとか、そういう声は全力で無視して、ウオミーがやりたいことをやってくれ】
「みんなも、本当にありがとう。色んな人たちの後押しのお陰で、今のボクがあると思ってます。これから、色んな大会に出たり、絡んだ人とコラボしたりして、今までのボクがしてた活動とは大きく変わっちゃうようになるかもしれないけど……ボクの根っこにある、ゲームの楽しさをみんなに伝えたいって部分は変わりません。どうかこれからも、ボクたちのことを応援してください!」
緊張しながらも癖になっている噛みを披露せず、しっかりと自分の言葉で言いたいことを言い切ったしずくにリスナーたちからの賛辞のコメントが送られる。
彼女の内側にある芯の強さと自身の夢を叶えたいという想いを改めて目の当たりにした枢と芽衣もまた、そんなしずくに対して賞賛の言葉を送った。
「しずくちゃん、やっぱりすごいな。大事なことをしっかり言葉にしてみんなに伝えられる強さ、私も見習わないと……!」
「俺も気軽に絡める女の子の友達が増えて嬉しいし、一緒にゲームの大会に出て良かったって思ってる。色々と、感謝してるから」
【三人が三人共にお互いに感謝してるのがええよな……】
【くるるんも芽衣ちゃんもウオミーも仲良くゲームしたり、雑談したりしてくれよな!】
【願わくばまたこの三人でゲームの大会に出てほしい。【ペガサスカップ】の熱狂をもう一度味わいたいんや】
枢の全力クソマロノックで一応のオチがついた配信であったが……今はそれ以上のいい形での締めを迎えられている。
三人はお互いが与える影響やリスペクトの強さを実感すると、綺麗な形で配信を終わらせにかかった。
「んじゃまあ、時間もおあともよろしいでしょうし、この辺で終わりにしますか! 三人でマシュマロ配信をやってみて、どうだった?」
「すっごく楽しかったよ! またこうしてマシュマロを食べる配信もしたいし、それ以外の企画もやってみたいよね!」
「うん! ボクも楽しかったし、勉強になった! 今日は本当にありがとう!」
「……ってな感じで、いい感じの感想が聞けたところで本日の配信を締めさせていただきます! お前らも付き合ってくれてありがとうな~!」
「おつめいで~す! また遊びに来てくださいね~!」
「ばいば~い! またね~!」
【おつ~! くるるんは流石のクソマロ捌きで安定してたから、楽しく観れたよ~!】
【おつめいで~す! 三人で色んなことやってね~! 楽しみにしてる!】
【これ、本当に枢のマシュマロ配信なのか? こんな感動的な雰囲気で終わるだなんて、なかなかないぞ?】
楽しかったという声と、終わりを惜しむ声とが入り混じるコメント欄の反応を見ながら枢が配信を落とす。
こうして、ちょっとした波乱はありながらも概ねはいい雰囲気の中で行われた【Milky Way】合同マシュマロ配信は無事に終わりを迎え、リスナーたちもまた、彼ら三人の今後に期待しながらその感想をSNS上で呟き、拡散するのであった。
~配信終了後、三人の通話チャンネルにて~
「う~ん、配信を終えた途端にまたマシュマロが馬鹿みたいに送られてきたぞ~。これもう完全消費は無理だな……」
「ふふふ……っ!! それだけ注目してもらえてるってことだし、プラスに受け取ろうよ! ねっ?」
「ぼ、ボクのところにもいっぱい来た! またすぐにマシュマロ配信できそうだね!」
「あっはっは! いっそのこと、一か月に一回くらいのペースでやろうか? なんか余裕そうだしさ」
「それもいいかもね! でも、そうなると枢くんが一番負担大きくならない?」
「ボクもそう思う。あの濃いマシュマロが今まで以上のペースで送られてくるようになったら……!!」
「いや、あの程度ならまあ……ってか、今更でしょ?」
「ひえぇ……! 慣れって怖いね、芽衣ちゃん」
「そうだね。でも、私も少しずつ慣れつつあるから何とも言えないなあ」
「まあ、冗談はさておきさ。また三人でコラボしようよ。時間とか日程とか、合わせて遊ぼうぜ!」
「うんっ! それは大賛成! なんだったら今から打ち合わせする?」
「あっ、じゃあボク、二人とやりたいゲームがあるんだけど、それを一緒にやらない? 協力系のゲームでさ……」
「いいねえ! んじゃ、話し合いといきましょうか!」
「ふふふ……! 今から楽しみだね! リスナーさんたちも喜んでくれるといいな!」
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