お待ちかねの、クソマロノック
【おっ!? 遂にこの時がやってきたか!】
【本日のメインイベントが始まるぞ~!】
【くるるんのマシュマロ捌きとツッコミもそうだけど、送られてくるクソマロの内容も楽しみだ!】
「えっ? 何? 枢くんは何をしようとしてるの?」
「ああ、大丈夫だよ。なんて言うか、恒例行事みたいなものだから……しずくちゃんも見て、何か学べることがあったら学んでいってね」
枢がそう宣言した途端、リスナーたちは急速に意識を切り替えて待ちに待った瞬間の到来にやんややんやの喝采を送り始める。
逆にまだ状況が理解できていないしずくが戸惑いを見せる中、準備を終えた枢はリスナーたちの最大のお楽しみであるクソマロノックを開始した。
『今日は太陽のまぶしいいい天気だね!
よって極刑に処す』
「前半と後半の空気が違い過ぎるんだよなぁ。なんでそんなバイオレンスな展開に突入した? この三行の間でお前の身に何が起きたんだ? そこだけが気になるわ。次!」
『くるるん次の料理教室にいい品があるぞ。
1,まずキャベツをちぎります。
2,塩でもみこみます。
3,服を脱ぎます。
4,完成だ! ご飯に合うぞ!』
「お前、馬鹿か? いや、馬鹿だ。間違いなく馬鹿だ。ツッコむのも疲れるから放置します。次!」
『クソマロ考えてたらうおみーに撃ち抜かれる夢を見ました。くるるん責任とって女装してはりつけになろうぜ』
「クソマロを考えてるお前が悪い。次!」
『なんでさっきのマシュマロを選んじゃったの?』
「こんなのばっかりお前らから送られてくるからだよ! そう思うのなら、もう少しまともなマシュマロを送ってくれ! 次!」
『わたし、メリーさん五歳。いま、おとーさんの後ろにいるよ!』
「帰れ。次!」
『くる、くる、くるるんく
くるくるくるくるくるくるくるくるくるくくるるんくくるるんく
友達できた
新くるるんく』
「友達ができたことを説明するのにCMソングを利用する必要ある? っていうか、本家のCMもこういう歌詞ではあるけどさ……いや、真面目に考えるのが馬鹿らしくなってきた。次!」
『何故キレるんだい? 俺達のクソマロは炎上級だよ?』
「自分で答えを言ってるよな? 炎上するからだよ! あと、滅茶苦茶くだらねえからだ! 次!」
『フハハハハハ、お前の名前から濁点をひとつなくしてやる!くらえぇぇぇ!! 蛇道 枢 → 車道 枢』
「ほ~ら! 死ぬほどくだらねえマロが来たぞ!! これ書いてるのは小学生か? もうほんと、くだらなさの極みだぞ!? 次!」
『クソマロ、入りまーす!(ラーメン屋風)』
「こっちはそんなオーダー求めてねえんだよ! お前らが無理矢理俺のマシュマロボックスの中に臭い立つマロを捻じ込んでるんだよ! そろそろ手加減しろ! 次!」
『とまときゅうり』
「次!」
『(ノ´・ω・)ノ ミ マシュマロ』
「かわいくすれば許されると思ってんじゃねえぞ、次!」
『くるるん今までありがとう、くるるんが頑張ってくれたから俺達も笑顔で配信を見れました。これからも応援しています
ところで、いつ芽衣ちゃんと結婚しますか? もしくは、いつお付き合いを始めるんですか?教えてください。
ついでに、好きなタケリタケの大きさを教えてください』
「あのさ、感動的な雰囲気を作っておいて、それを自分でぶっ壊すの止めてくんねえか? お前の本音が後半二行にまとめられてるのは見ててわかるから! カモフラージュの意味とかねえから!!」
「うわぁ……! なんかもう、本当にその……凄いね」
「枢くんも凄いけど、こういうマシュマロを送ってくるリスナーさんたちも凄いよね~」
【ウオミードン引きしてて草】
【芽衣ちゃんは慣れたもんだなぁ……】
【今日もクソマロが大量に届いているようで……】
【流石は枢、クソマロを捌く動きに淀みがない。これが天才か】
【クソマロ検定を受けるとこんな動きができるようになるって本当ですか!? ラブリーにも取らせないと!!】
蛇道枢が参加したマシュマロ配信の名物となっているクソマロ千本ノックを視聴するリスナーたちが歓喜のコメントを次々と打ち込む。
その様子を若干遠巻きに眺めていた芽衣としずくは、改めて色んな意味で凄い彼らのあれやこれやに感心するやら驚愕するやらしていた。
「はあ、はあ、はあ……まあ、こんなもんでしょ。毎回、ちょっと放置しておくと馬鹿みたいなクソマロが増えるから困る」
「お疲れ様、枢くん。ちょっと休憩して、息を整えなよ」
「ありがと、そうさせてもらうね」
というわけで本日のメインイベントを終え、オチらしいオチまでもつけ、無事に期待されていた仕事をこなした枢は、芽衣にバトンを渡すと少しだけ休憩を取り始めた。
そろそろこの配信も終わりか……と、考え始めるリスナーたちであったが、そんな空気の中、しずくがおずおずとした態度で口を開く。
「あ、あの、最後にさ、ボクの方から紹介したいマシュマロがあるんだけど……いい?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます