おかわりも、ごちそうさまでした!

【たげ楽すい!】


 う、うう……前が、前が見えねえ……。

 今の状態で芽衣ちゃんの姿を見るとショック死しそうなので、リア様の未公開シーンを観ていこうと思います。


 公式番組初参加のリア様ですが、プレッシャーなんてなんのそのって感じで楽しんでいるご様子。

 そのテンションのまま、地味に公式から仕事を多く振られている枢へとこんな質問を投げかけてきました。


「蛇道さんってクリアニの方にも出演なさってますたよね? あっちの方はどうですたが?」


「楽しかったですよ。でもやっぱ緊張しましたね。なにせ二期生初のクリアニ出演でしたし、アニメに声を当てるのも初めての経験だったんで」


「いいな~! 楽すそうだな~! わーも出でみでばって、やっぱりこっちの方さ住んでねどながなが機会がねのが残念だ」


「そうですね。でも、だからこそリア様が出演する回は特別な感じが出ていいんじゃないでしょうか。今度、二期生全員が出る回も収録する予定だって薫子さんも言ってましたし」


「んだの! わーも楽すみだ! クリスマスや誕生日ど一緒で、滅多にねはんでごそその一回特別なんだって思えますす、こうすて蛇道さんや皆さんと何がするの、たげ楽すくて大好ぎだ!」


 あ~……何を言ってるのか所々わかんないけど、無邪気でいいわ~……。

 クリスマスとか誕生日を例に出すところも子供っぽくてかわいいし、リア様を見てると孫を見てるおばあちゃんの気持ちがわかるのよね……。


「今日の収録も楽すみにすてますた! よろすくお願いすます!」


「俺も楽しみにしてましたよ。こちらこそ、よろしくお願いします」


 枢が甘やかすのも当然のかわいさだわ。うん、納得。

 ……でもね、心が穢れた大人の目には、リア様の無垢な純粋さは眩し過ぎるものなの。ああ、自分の醜さを突き付けられた心が痛い……。




【最大の難関】


 さてさて、こちらは第一回の収録が終わって少し経ったスタジオの光景。

 スタッフさんたちが二回目の収録に向けて準備をする中、枢はこの番組最大の敵と相対しているようで……?


「う~わ、ヤバい。思ってたよりもお腹に余裕ないわ。二回目の収録、どれくらいしたら始まるんでしたっけ?」


「予定では三十分後くらいかな……? 大丈夫? 胃薬とか飲む?」


「いや、そこまではいかないっすけど、想像以上に二連続で何かを食べるってキツいっすね」


 そうなんです。本編でも枢が言っていましたが、この『くるるんキッチン』は二本撮り。即ち、くるるは芽衣ちゃんとしょうが焼きを食べたすぐ後にリア様とペペロンチーノを食べているんです。

 この腹の膨れ具合というか、大食いをしなきゃいけないという部分が思っていたよりも難敵だったようで、枢も大絶賛呻いている最中みたい。


「いや~……これはマジでリア様の胃袋が欲しくなるな。次の収録からは、前日飯を抜くとか工夫しなくちゃダメだ」


「それはそうかもですね。こちらも休憩時間を長めに取って、少しでも休めるようにしておきます」


「すいません、助かります。まさか炎上よりも恐ろしい相手が存在するなんてなあ……」


 あの枢をして、炎上よりも恐ろしいと言わせる満腹の辛さ、正におそるべし。

 企画の前準備もそうだけど、本番中もこんなふうに色んな問題と戦ってるのね……改めて、凄いと思うわ。




【親子三人での食事!】


 最後にお見せする未公開シーンは、こちら!

 第二回放送は枢がリア様のおかわりを作っているところで終わっちゃったけど、その後どうなったのか? 気になってる人もいるでしょう?

 実は、こんなことになってたんです!


「はい、お待たせしました。追加のペペロンチーノ、大盛りです!」


「わ~い! どうも、蛇道さん! うめ、うめ……!!」


「本当にいい食べっぷりですよね。こっちも作り甲斐があるっていうか、そんなふうに美味しそうに食べてもらえると、嬉しくなりますよ」


だってめぇはんでだって美味しいですもん! 蛇道さんの料理! うまうま……!」


 収録終了後も美味しそうに枢の作った料理を食べるリア様。

 すると、そこへ――


「収録、お疲れ様です。お邪魔します」


「あっ、芽衣ちゃん。残っててくれたんだ」


「うん。どうせなら一緒に帰ろうと思って……」


 第一回の収録に参加した芽衣ちゃんが登場! 旦那が仕事を終わらせるまで待ってるだなんて、いい嫁ですな~!

 というわけで第一回、二回のゲストとメインパーソナリティーが揃ったわけですが、ここでお食事中のリア様が芽衣ちゃんに声をかけます。


「お疲れ様です、羊坂さん! 良かったらわーと一緒にご飯、食べませんか?」


「えっ? ああ、でも私、もうお腹いっぱいだから……」


「パスタは無理ばって、こっちのガーリックトーストだばいげるんじゃねか? こぃも蛇道さんが作ってけだんだばって、ほんにめぇよ!」


「そう、なんですか? じゃあ、折角だし一つだけ……はむっ」


 少し緊張気味の芽衣ちゃんですが、リア様から残しておいたガーリックトーストを受け取ると、小さなお口を開けてはむっと口に含みます。

 ザクッ、という小気味良い音がして……ああ、この音が本当に食欲を誘う!


「あっ、美味しい……! 外はカリカリで、パンに齧りつくと口の中ににんにく風味のオリーブオイルとバターがじゅわ~っ、って広がって……ほっぺが落ちちゃいそうだよ」


だびょんでしょう!? やっぱ蛇道さんが作ってくれる料理はめぇものばすだ!」


「なんかそこまで褒められると逆に気が引けちゃうな。でも、気に入ってもらえてよかった」


「ふふふ……! 一緒にご飯はちょっと無理だけど、リア様と枢くんとお喋りすることならできるよ。収録お疲れ様の意味も含めて、少し三人で話そうか?」


「いいね。リア様も大丈夫ですか?」


「もぢろんだ! ささ、座って、座って!」


 そんなわけで同じテーブルを囲み、お喋りを始める三人。

 美味しそうに山盛りのパスタを食べるリア様を見守る枢と芽衣ちゃん……うん、見てるだけでもほのぼのしてきちゃうね!


「やっぱりご飯は大勢で食った方がめぇね! 今度は二期生のみんなでやるべよ!」


「ふふふっ! それ、楽しそうですね! 五人で料理して、みんなで食べて……きっと賑やかな回になるよ!」


「上手いこと放送が長く続けば、スペシャル回ってことでやらせてもらえるかもね。確証はないけどさ」


「つまりは枢くんの頑張り次第ってことだね! 応援してるから、実現まで頑張って!!」


「わーも! いっぱいいっぱい応援すます!」


「え~……? なんか責任重大になってきちゃったな。別にいいんだけどさ」


 楽しそうに会話しながら、父親の仕事を応援する母と娘……う~ん、これは正真正銘円満な家族!

 やっぱり食事っていうのはこういう楽しい雰囲気の中ですべきよね! こんなほのぼのとした明るい家族団欒の光景を作り出す番組がメインパーソナリティーを炎上させるわけないし、安心安心!


 ……というわけで、今回の『くるるんキッチン、おかわり!』はここまで!

 どうだった? 配信の裏側とか、普段は見れない推しの意外な一面とかを見て、楽しんでもらえたかな?


 これからも『くるるんキッチン』はまだまだ続きます! 『くるるんキッチン、おかわり!』では、放送の中で紹介し切れなかった名場面や面白シーンをバンバン紹介していく予定だから、本家と一緒に応援よろしくぅ!


 ではでは、今日はここでお別れ! 番組や出演者への応援メッセージ、ラブリーさいかわ! なんかのコメントもドシドシ書き込んじゃってね!

 それじゃあ、ばいば~い!! 次回をお楽しみにね~っ!!



―――――――――――――――

ありがたいことに、皆さんの応援のお陰でこの小説のPVが一千万を超えました。

いつも応援ありがとうございます!それと、感想の返信ができてなくて申し訳ない!

副反応が落ち着いたら再開しますので、少々お待ちください!

本当にありがとう!!!!!!!!!!

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