第2回くるるんキッチン!(ゲスト・リア・アクエリアス)
久々の料理配信、開始
『……この番組は、料理技術どころか家事スキル皆無な【CRE8】所属Vtuberのために、料理できる系男子である蛇道枢が美味しいご飯の作り方を教えてあげる、優しさと温もりに満ち溢れた番組です……なので彼を燃やさないであげてください、お願いします。【CRE8】スタッフ一同より』
『え~……この放送を観ている俺、第一回の反響はどうでしたか? 多分だけど炎上したと思いますが、その規模とかはどうでしたか? ……二本録りなんでマジでどうなったかわからなくて怖いです。どうか、今回こそは燃えないで済むようにお願いします』
夜七時ジャストに配信された第二回のくるるんキッチンの冒頭は、そんな洒落にならない枢の独白(というより懇願)から始まった。
彼の話を聞くスタッフの間からは笑い声が漏れているが、それを聞いた枢の中の人である零は、画面に映らないのをいいことに彼らに向けて中指を立てて怒りの形相を向ける。
『笑いごとじゃねえんだよ。いいか? こっちは公式に燃やされる羽目になってるんだぞ? お前ら加害者だからな、加害者!? 人を燃やしてる自覚を持って撮影に臨めよ!? わかったな!?』
若干のキレ芸を見せる枢の声をバックに、【この番組は、料理できる系男子である蛇道枢が他のCRE8所属タレントに美味しいご飯の作り方を教えてあげる、お料理バラエティ番組です】というテロップが流れる。
バラエティの部分を占めているのが枢の反応なんだろうな~、と番組を観ているファンたちが思う中、ひとしきりキレ終えた彼は冷静さを取り戻すと共に本日の受講者役となるゲストを呼び、彼女を紹介していった。
『はい、この空気の中で呼ぶのも申し訳ないんですが、本日のゲストをお呼びします。第二回のゲストは……リア・アクエリアスさんです! どうぞ!!』
『わ~い! よろすくお願いすま~す!』
つい数秒前まで枢がブチ切れていた空気をものともせず、明るく元気な挨拶を口にしながら登場するリア。
津軽弁がチャームポイントのかわいい妹分の登場に気分を良くした枢もまた、明るい雰囲気で彼女と会話を繰り広げていく。
『来てくれてありがとうございます。こうしてリア様と二人で話すのも久しぶり……でもないですね』
『その節はほんにお世話になった……! でもオフで二人ぎりっていうのはまだねがっただよね? なんだが新鮮だ!』
『そうですね。基本、オフで会う時は二期生全員でって感じなんで、俺もちょっと新鮮です。それで、どうです? 料理の腕に自信はありますか?』
『う~ん……人並みには、って感ずだびょんか? 家庭科の授業でやったはんでご飯どお味噌汁くれは作れますけど、それ以上はどうだかな……?』
『おお! それだけできるなら十分ですよ! これはまあ、極秘の情報なんですけどね。柳生しゃぼんって人は米を炊く方法すら知らないんですから、それと比べたらリア様はもう十分に料理できる人ですって!』
『それ、わーだげでねぐって誰でも料理上手の部類になるんじゃねかね……?』
『誰でもではないです。愛鈴も同程度ですから』
しゃぼんと愛鈴が地味に流れ弾をくらう中、トークを終えた二人が料理の準備に入っていく。
その際、リアは講師である枢へと自分の要望を伝えていった。
『蛇道さん! わー、
『任せてください。そう言うと思って、簡単かつお洒落かつ拡張性もある料理を用意しておきましたから』
そう言いながら、キッチンの上に今日使う食材を並べていく枢。
パスタ、にんにく、鷹の爪……と、実にシンプルな三種類だけの食材を置いた彼は、リアへと大真面目な様子でこう告げる。
『今回、リア様にお教えするのは……ペペロンチーノです! この料理はマジで簡単だから! しかも基本さえ身につければいくらでもアレンジできるし、他の種類のパスタも作れるようになるんで、マジで覚えておいて損はないですよ!』
『おお……パスタ……!! なんとな~ぐ、お洒落な感ずがすます!』
枢イチオシの料理、スパゲティ・ペペロンチーノ。
なんだか聞くだけでもお洒落そうな名前とパスタというイタリア料理のメイン格の料理の登場に心を躍らせたリアは、早速彼に教えてもらいながらその料理を作り始めた。
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