5日目、彼女たちの感想


『さてさて、次は5日目か~! 初外部コラボに初ASMR、更に初の案件! 初めて尽くしの配信だったね~!』


 クソマロに関する話題も枢が見事な捌きっぷりを見せたことで無事に終わり、配信の空気もいい感じに盛り上がってきた頃、振り返りの日付を1日進めたたらばが5日目の企画の話を同期たちへと振る。

 これは自分より、競技者として配信に参加した女性陣がメインとなって話すべきだと、ちょうどクソマロへの突っ込みで目立っていた自分が引っ込むいい機会を見つけたとばかりに存在感を消し始めた枢は、黙ってお好み焼きを焼きながら4人の話を聞いていった。


『演技系の配信はな~、本当に好きだから楽しかった! 私だけ黒星がついたのは悔しかったけどさ、それでも高評価だったから嬉しさの方が勝ったよね!』


『私は……色んな意味で、緊張しっぱなしでした。女の人たちばっかりでしたし、枢くんにはすぐ頼れない状況でしたし……でも、それを乗り越えて、つつがなく配信を終えられた時、少しは成長出来てるんだなって思えたので、本当に参加して良かったなって思ってます』


『わーも! 方言めごぇかわいいってしゃべって言ってもらえで、嬉すくてあっただ!』


『単純にVtuberのお友達が増えたのも嬉しかったしね~! 初めてのことばっかりで緊張したけど、その分収穫もいっぱいあった、とってもいい配信だったさ~!! 案件持ち込んでくれた【ロクヨンTEC】さんと、【SEASON】のみんなに感謝だね~!』


 感想を述べ、その配信の中で得た充実感や達成感を語る芽衣たち。

 単純に好きな演技が出来たこと、自分の成長を実感出来たこと、新たな自分の一面を出せたことや友人が増えたことなど、喜ぶ理由は様々だが、女性陣は5日目の配信をやって良かったと思っていることは共通していた。


 その後、話は共演してくれたVtuberユニット【SEASON】の4人についてのものへと移っていく。


『あの4人もいい人たちだったよね。お互いに初対面で初の案件配信だったから緊張でガッチガチだったけど、そのおかげで逆に仲良くなれた感じもあるし』


『人見知りな私とかリア様にも気を遣って接してくれましたしね。私ももう少しお喋り出来ればよかったんですけど……』


『ASMRのコツとかも教えてもらったしね~! そういう意味でも収穫があってよかったさ~!』


『そうしゃべれば花咲さんと愛鈴さんは【SEASON】の皆さんと連絡先交換すてますたよね? コラボの計画とか立ててるんですか?』


【おっ、新情報ナイスゥ!】

【たら姉とラブリーはコミュ力高めだからな。1度顔を合わせた相手となら難なく配信出来そう】

【たらばとなぎさの乳合わせコラボがあると聞いてやってきました。無いなら愛鈴とすすきさんの無乳コラボで我慢します】


『コメント? お前、名前覚えたからな?』


『あははははは! 残念だけど今はそんな話とかは出てないよ~! 2期生ウィークに集中してるから、他のコラボ企画とかを立てる余裕はなかったかな~!』


『でも、逆を言えばコラボする下地は整ってて、2期生ウィークが終わった明日からなら、そういう話が出るかもしれないってことでもありますからね』


『ん~……まあ、それはそうかな! 折角出来たお友達だし、もっともっと仲良くなりたいとは思ってるさ~!』


【把握! 頭の片隅に入れて楽しみに全裸待機してる!】

【これから2期生たちもちょっとずつ他の箱とか個人勢のVと絡んでいくんだろうなって……】

【活動の幅を広げていくみんなを応援していくよ! 1期生の先輩たちとも絡む機会も出てくるだろうし、頑張って!】


『応援どうも。そっかあ……んだの。同期全員でこったごどやって、達成感みだいなもの感ずぢゃーんだげど……まだこったの序の口なんだなぁ……』


 しみじみと、リスナーたちからの応援コメントを受けたリアが呟く。


 こうして2期生全員で揃って配信を行うまで、随分と長い時間がかかった。

 その苦労が、1週間連続での同期コラボを行ったことへの達成感を何倍にも増させていたが……周囲から見れば、まだこれも最初の通過儀礼を過ごしたようなものなのである。


 ここから同じ事務所の先輩と絡んだり、他の事務所のVtuberと絡んだり、大勢の人々が集うイベントに参加したり……と、活動の幅はどんどん広がっていく。

 そう考えると、自分たちもまだまだひよっこなんだなということを実感した一同は、深々と頷きながら最後に新しいお好み焼きを用意している枢へと感想を尋ねた。


『枢くんはどうだった? ASMR配信をやってみて、どう感じた?』


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