第2試合、結果発表


『いや~……本音をいえば、どっちも互角だったんで引き分けにしたいところなんですよね。愛鈴は設定をしっかり出してたし、秋月さんは短いけどがっちり心を掴む演技をしてくれましたし、芸術点でいえばどちらも素晴らしかったとは思うんです。ただ――』


『……ただ?』


『これって、勝負としては俺をドキドキさせるってのが主題なわけなんですよね? そういう面でいったら、俺がドキッとしたのは秋月さんのASMRなわけなんで……審判としては、秋月さんの勝ちという評価を下します!』


 どちらも素晴らしい演技であったと評しながらも、このASMRボイス対決という勝負のルールに絡めて勝敗を決めるというのなら、ストレス値が上がったとしても心拍数を上昇させたすすきの方が勝者に相応しいと、枢が言う。

 その判定に【SEASON】チームからは歓声が上がり、【CRE8】チームからは溜息が漏れた。


『よ~っし! これで1勝1敗のイーブンっ!! 勝負は振り出しに戻った!!』


『ナイス。流石はすすきだ』


『ふふふ……! 正直、ギリギリの勝負でした。単純な演技力でしたら、愛鈴さんの方が上だったと思います』


 接戦を制し、なぎさの敗北を帳消しにしたすすきへとチームメイトからの賞賛の声が寄せられる。

 残念ながら負けてしまった愛鈴にもまた、芽衣たちから健闘を称える言葉が送られていた。


『惜しかったですよ、愛鈴さん!』


『愛鈴さんはベストを尽くしたと思います。どっちが勝ってもおかしくない勝負でした』


『くぅ~っ! 悔しいけど、愛鈴ちゃんは頑張ったさ~! 凄くいい演技だったと思うから、凹まないでね~!』


『凹んでなんかないわよ。悔しくはあるけど、まあしょうがないかなって感じだしさ』


『なんか悪い。真面目にいい演技だったから、優劣とか付けたくなかったんだけどよ……』


『だから、気を遣うんじゃないっての! あんたはあんたの仕事をしただけなんだから、堂々としてなさいよね!!』


【2人とも凄かった! お疲れ様!!】

【くるるんも判定難しかったろうな……愛鈴を勝たせてあげたかっただろうけど、ルール上しょうがない】

【ようやくエンジンが掛かってきたな! 次は誰だ!?】


 それぞれの反応を見せる2つのチームたちの様子に盛り上がるコメント欄も選手たちを称えつつ、次の勝負に期待を疼かせているようだ。

 勝負としても面白くなってきた配信の行方を多くの視聴者たちが見守る中、さくらとたらばが会話を進行していく。


『1勝1敗のイーブンとなった状況で迎える第3戦! ここはとても重要ですよ~!』


『ここで負けた方はもう勝ちの目がなくなっちゃうからね~! 地味にプレッシャーがかかる場面だよ~!』


 勝負は全部で4戦。現在2試合が終わり、1勝1敗の状況。

 3戦目のここで負けた方は最高でも2勝2敗という引き分けに持ち込むしかなくなるため、この勝負は何気に重大な局面を迎えている。


 未だに勝負に出場してないメンバーがこの状況の重要さに固唾を飲む中、司会進行を担うたらばが大事なASMRボイス対決3戦目のお題を発表した。


『では、3試合目のお題を発表するさ~! テーマは……雪景色の中で一言!!』


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