主役は主に、愛鈴
『芽依ちゃんへ 最近巷では地獄の炎こと蛇道枢とその鬼嫁の芽依と言う話が上がっているががそれについてはどう思いますか?』
『これ系等のマシュマロ、結構届いてるんですよね。そんなに私、怖いことしてますか?』
まず最初に芽衣が自分宛に届いた若干臭い立つマシュマロを拾い上げる。
男女CPを話題に出しているから、そこそこ危険なマシュマロなわけであるが、芽衣はそれを意識していないのか平然としていた。
既に枢の嫁ポジションに自分がいることについて疑問を持たなくなっている彼女の様子にちょっとしたてぇてぇを感じつつ、残りの同期たちがその質問に対しての自分なりの見解を告げていく。
『鬼嫁って感じはしないよね。枢くんを尻に敷いてることもないし』
『むしろ、2期生の中では蛇道さんと並んで優すい人2トップだど思います』
『その優しい2トップが私に対してだけは辛辣なのはどうして?』
『ああ、愛鈴さんへの接し方でそう言われてるんですね……-5ポイント』
『待って! それマイナスが続くとどうなるの!? 私、ツープラトン制裁とか受ける羽目にならないよね!?』
自身が鬼嫁と呼ばれる元凶を見つけ出した芽衣が敢えてそれに乗っかってみれば、愛鈴もまたいいリアクションを見せて配信を盛り上げてくれる。
リスナーたちも不憫な彼女の姿を見てキャッキャッとはしゃぐ中、2期生たちは次の質問マロを表示してみせた。
『おっぱいサイコーーーーーーーーー! たらばのたわわサイコーーーーーー!』
『ほんっとうにさ……!! 男って巨乳が好きよね。っていうか、どうしてこれが私のところに届くわけ!? 普通にたらばのところに送りなさいよ!』
『クソマロの予兆ってやつですね……! これからどんどん数が増えていきますよ……!』
『止めてよ! そんな怖いこと言わないで! 大丈夫、こんな励ましのお便りも沢山届いてるんだから!!』
リアの言葉に本気で怯える愛鈴が自分宛に届いたクソではないマシュマロを探して配信画面に表示していく。
件の炎上から再出発を図った彼女への励ましのマシュマロは思ったよりも多く、画面を埋め尽くさんばかりの勢いで優しいお便りが表示されていった。
『○愛鈴へ これからも悲しいこと、苛つく事は多々あると思います。そんな時は我慢せず、2期生のみんなや俺たちリスナーにも吐き出して欲しいと思います。色々ありましたが、応援してます、頑張って!』
『ラブリーさんへ 好きです。我慢はよくないので、素直に毒を定期配信してください。
暗いのは良くないので、明るく可愛く毒を吐いてください。イメージは小悪魔。
リスナーからのお悩み相談をしてください。遠慮せず全力で罵るのがコツです。
辛いときはたら姉のたらばに癒されてください。たぶん、たら姉なら受け入れてくれるはず。需要あると思います。
頑張ってください。燃えるのを楽しみにしています』
『負けないで!たまにはリスナーに弱音吐いたっていいと思います。』
『本当にいっぱい応援のマシュマロが届いてるんだね~! 愛鈴ちゃん、愛されてるよ~!』
『ああいうことがあってもこうして応援してくれるファンのみんなには本当に感謝の気持ちしかありません。改めて、ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いしますね』
珍しく丁寧な言葉遣いでリスナーたちへと感謝の気持ちを伝える愛鈴。
一時は自分の失態のせいで引退もやむなしといった状態にまでいってしまった彼女であるが、同期やファンたちの支えのお陰でここまで持ち直せたことに対して、本気で感謝しているのだろう。
とまあ、そんないい雰囲気で話が終わればよかったのだが――
『あ、でもこんなマシュマロが私のところに届いてたよ』
『わーのところにも、こんなん来てました』
――とまあ、そんな風に感動的な雰囲気をぶち壊すようにして自分たちのところに届いた愛鈴宛のマシュマロを表示するたらばとリア。
当たり前ではあるが、その内容は励ましのメッセージなどではなく、どちらかといえばというレベルでもない立派なクソマロそのものであった。
『今のラブリーにふさわしいプレゼントを用意しました。ぜひ使ってください。つお笑い用ハゲカツラ』
『オィ三下ァ!!?』
『ねえ、今このマシュマロたちを見せつける必要ってあった? よかったね、で話を終わらせちゃ駄目だったのかな?』
『よかったなぁ、愛鈴。これから先、お前のところにもこんなクソマロが山のように届くようになるぞぉ……! 楽しみにしてろよなぁ……!!』
『……ねえ、クソマロ捌きについての講習を受けたいんだけど、薫子さんに申請したら費用とか負担してもらえる?』
『講習会と資格試験のセッティングはしてもらえるぞ。それで俺はクソマロ捌き検定1級取った』
【ほえ~、CRE8って所属Vの資格取得まで面倒見てくれるんすね~!】
【ただしVとしての活動以外にはほぼ役に立たない模様】
【枢の活動には死ぬほど役に立ってるんだよなぁ……!】
自分の将来に降りかかるであろう苦難を予知した愛鈴と、現在進行形でその苦難を味わっている枢が遠い目をしながら会話を交わす。
そういう立ち位置に在る者同士として分かち合える想いに頷き合う2人を放置して、残りの3人は続けてマシュマロへの回答を行っていった。
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