結果発表、開始
『……今になってわかったんだけどさ、これって心にもない言葉を口にしてるからここまで下手に出られたんだよな? 力になってやろうって仏心を出した自分が馬鹿みたいだ』
『へっへ~ん! ものの見事に騙されちゃってさ~! 枢くんは甘ちゃんですね~!!』
本気で愛鈴が弱っていると思い込んでいた枢は、その思い込みと優しさを利用して目的を達成してみせた彼女からの煽りを受け、悔しさに歯軋りしていた。
普段、雑にボロクソにされているお返しだ……と、言わんばかりの煽りっぷりを見せる愛鈴であったが、そんな彼女と枢へと、たらばのフォローと思わしき言葉が飛ぶ。
『大丈夫だよ、枢くん! 愛鈴ちゃんはこう言ってるけど、絶対に心の中では申し訳ないな~、って思ってるから!』
『えぇ……? こいつがですかぁ……?』
『うん! なんだかんだで愛鈴ちゃんは小心者だから、騙したことに罪悪感を持ってるに違いないさ~! 気遣いは出来るけど図太い部分もある枢くんとの最大の違いは、そこにあるよね~!』
『ああ、確かにそうですよね……。愛鈴さんの小者感って、そういうところから出てるんだなぁ……』
『一生懸命悪役のふりすてらんだはんで、わんどは
『ねえ、待って。なに、この雰囲気? なんか物凄く心苦しいんだけど!?』
【全部バレテーラ。やっぱ愛鈴は三下がぴったりなんだな】
【たら姉、フォローしてるようでザックリ刺してて草】
【小心者www小者感wwwボロクソ言われてるじゃねえかよwww】
生暖かい8つの眼差しが自分に向けられていることと、ついでになんだかんだで小心者という自身の素顔も見抜かれていたことに動揺した愛鈴が同期とリスナーたちが生み出す妙な空気に叫びを上げる。
うんうんと、もうわかってるからと、そんな優し気な笑みを浮かべる仲間たちの姿に腹立たしく悔しい思いを抱えた彼女がカッカッと頭から湯気を立ち上らせる中、芽衣が話を本題へと引き戻していった。
『はい。これで私たち4人と枢くんとの会話はお見せ出来たと思います。この後の会話は省きますが、簡単に言ってしまえば、私たち4人との歌ってみた動画の収録をどういった順番で行うのか? というものを枢くんに決めてもらう流れになりました。そして、枢くんがマネージャーさんに提出したその順番が、私の手元にあります!』
『よ~し、薫子さんにお願いしてマネージャー交代してもらおう! あの人も仕掛人だったとはな!!』
『まあまあ、そう怒らないで。2期生ウィークの盛り上げのために協力してくれたんだからさ』
『でも信頼関係にはひびが入ったわね。マネさん、大丈夫かしら?』
『それはそれで置いておいて、結果発表にいこうよ! 芽衣ちゃんはもう、枢くんの回答を確認したの?』
『いえ、まだです。皆さんと一緒に結果を知りたいな~、と思ったので。だから……結果発表は、枢くん自身の口からしてもらおうかなって』
『うえ~、マジかよ……!? うわ、はっずぅ……!』
枢の回答は手元にあるが、あくまでこれは答え合わせ用のものだとして、彼の口から彼の考えや同期たちの優先順位を発表してもらおうと言う芽衣。
枢もまた、恥ずかしさを感じながらも仕方がないかとばかりに彼女の提案に乗り、咳払いをしてその準備を整える。
『……念のために言っておくけど、これはあくまで今回の歌ってみた動画の優先順位だからな? 他のシチュエーションならまた違う結果になるだろうし、ここで出た順番が俺の好感度に直結してるとは思わないでくれよ?』
【理解&把握!】
【下手にCP厨として騒ぎ立てたり、不仲説を流したりするなってことだな! もちろんだぜ!】
【俺が選択肢に入ってない時点で完全なるランキングとはいえないから大丈夫¥5000 Pマンさん、から】
『う~ん、なんかおかしい奴がいた気がするけど、放置して結果発表に移らせてもらうわ。では、まあ、1番最初に動画の収録をする相手は――』
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