第4話 美少女NPCと初戦闘
『いらっしゃいませ、ここは鍛冶屋です』
「おぅ…つっても、それしか言わないNPCに話しかけても意味ねぇか」
「うわぁ、色々ある…」
今まで行った事がなかったのだろう、ユキは装備屋に置かれた武器や防具等をみてキラキラとした眼を見せる、このゲームを誘ってきた大樹と同じような感じだ。
鍛冶屋には剣や斧、杖に槍等の様々な武器、そして防具には鎧からローブまで様々な物が陳列している。
武器に触れると、金額と性能が表示される。
鉄の剣 攻撃力+10
銀貨3枚
鉄の斧 攻撃力+15 敏捷-5
銀貨3枚
木掘りの杖 攻撃力+3 魔力+10
銀貨5枚
やはり武器系は相当高い、この手のゲームでは武器が欠かせない事も考えると、当たり前と感じなくはないが。
(自分の武器は今のままで様子見をするとして、防具はなるべく安いのを…)
とかなんとか色々考えていると、後ろからユキが俺の背中をつついてくる。
「どした?」
「私、これがいい、かな」
「ん? これは…」
見せてきたのは小型の短剣。火力こそ普通の剣よりは劣るが速く移動しながら戦う事に優れた武器だ。俺はてっきり魔力が高いって所から杖を選ぶつもりではあったのだが。
鉄の短剣 攻撃力+5 敏捷+5
銀貨2枚
値段も比較的安い。
「ナイフか…どうしてこれを?」
「何となく…」
「…成程。魔力が高いから杖もありかと思ったが…」
「ダメ?」
「いや? 良く考えたら、杖とかの魔術師系統は敵に近づかれたらどうしようも無いしな。良いんじゃないか?」
「…ありがと」
俺の持つ普通の剣と、ユキの持つ小型の剣。なんだ、結構相棒らしい構成じゃないか、と勝手に満足する。
武器も決まり、あとは防具だけ…と見て回る。
鎧もいいが、ユキにそれは合わないだろうし、何より鎧は重い分敏捷が下がるデメリットもある。
やはり動きやすく、かつ防御力もそれなりにある物がいいな。
「…ローブ。も、悪くはないな…金も安いし、誰でも装備できる」
「白と黒がありますね」
「成程…お揃いって奴か?」
黒のローブ 防御力+5
銀貨1枚 銅貨5枚
白のローブ 防御力+5
銀貨1枚 銅貨5枚
値段もお手頃だし、何よりお揃いというのは何とも良き響きである。俺が黒でユキが白を着れば、良い感じにマッチするだろう。ユキの髪色と同じというのもまたいい。
「じゃぁ、それにすっか」
「一緒の奴ですね」
「相棒っぽいだろ?」
商品に触れ、表示される購入ボタンを押せば晴れて自分の物になる。普段とは違うファンタジーにあふれた購入法、これもまたVRMMOのそそられる要因の一つとなっていた。
「じゃ、行くか!」
「はいっ」
〇
シノハ《戦士》 LV:1 所持金:金貨(0) 銀貨(1) 銅貨(0)
【HP】45/45 【MP】5/5
【攻撃力】20《初期:10 振り分け:10》
【魔力】5《初期:5 振り分け:0》
【防御力】30《初期:20 振り分け:5 装備:5》
【敏捷】10《初期:5 振り分け:5》
【知力】15《初期:5 振り分け:10》
装備
武器・右:初級の剣 《追加効果無し》
防具(武器)・左:初級の盾 《追加効果無し》
頭:
身体・上:黒のローブ 《防御力+5》
身体・下:(黒のローブ)
足:
アクセサリー:
ユキ《NPC:???》 LV:1
【HP】25/25 【MP】40/40
【攻撃力】15《装備:5》
【魔力】30
【防御力】10《装備:5》
【敏捷】10《装備:5》
【知力】10
装備
武器・右:鉄の
防具(武器)・左:
頭:
身体・上:白のローブ《防御力+5》
身体・下:(白のローブ)
足:
アクセサリー:
装備を買って、少しはまともなステータスになったと思う。
「それじゃあ一先ず村を出よう。外に行けば、何か見つかるだろう」
「モンスター、出るのかな」
「出るだろ、そりゃ。不安か?」
「…いえっ!」
黒いローブと白いローブを揺らし、俺達は森を方へと歩いていく。
モンスターが出たならば、倒すだけだ。目指すは初討伐、初レベルアップだ。
〇
森では初心者プレイヤーがモンスターと真剣勝負を繰り広げていた。一人で戦っている者もいれば、友達同士で戦っている者もいた。特に一人で戦っている者は比較的苦戦しているような感じであった。
「…よぅし、モンスター、いつでもかかってこいっ」
「よ、呼ぶんですか?」
「あぁ、その方が効率はいいからな」
ガサッ…。
俺の声に反応したかのように、俺とユキの左右にある草木が揺れる。
そして勢いよく液体で出来たモンスター…スライムがこちら目掛けて突進してくる。
「うわわっ」
「注意は怠るなよっ!」
驚くユキの前に出て剣を振るう。『ピッ!』という声を荒げ、奴は後ろに後退する。
『スライムに8のダメージ!』
「よわっ!?」
剣を振るって8点だと、こいつ正気か?
スライムの方もそんなのお構いなしと言わんばかりに突進を繰り返す。
「クソっ、案外硬いぞこいつ!」
「…っ、えいえいっ!」
ユキも後ろから短剣の効果で上がった敏捷を生かし、スライムの前に行き短剣をブンブンと振り回す。ちょっと使い方違うだろと思ったが、スライム相手には通用したようだ。
『スライムに4のダメージ!』
「ピッ…キュ~」
ボフンッ!
ユキの一撃によって、スライムは弾け飛び、風船のように割れて消え去る。
これが初めてのモンスター、思った以上の強さで困惑したが、二人いれば何てことはなかった。
「ふぅ、助かった、ユキ」
「は、はい…良かった」
助けになれた、と言わんばかりにユキは安堵した表情を見せる。
その表情を見ていると、俺もなんだか嬉しい気持ちになってくる。
『シノハのレベルが2に上がりました』
『ユキのレベルが2に上がりました』
魔法【
…俺達の冒険は、始まったばかりだ。
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