第5話 わたしもお医者さんごっこをしてみますかね

入院5日目

ナースストーカーシステムが 取り外され 自由移動ができるようになった

っと同時に 今日 部屋移動あります と 通告された

お隣のベットの よくしゃべるおじさん72才の久保さんとはお別れである

ありがとう 久保さん フォーエヴァー なお 4人部屋であったが全員追い出された

女性部屋にするから 男は出ていけ だそうだ


******

新しい部屋の住人は わたしの斜め迎えに前の部屋から続投 耳が遠い 清水さん

お隣さんは 斑認知症なため そっとしておいたからノーデータ 見た感じ 寝たきり生活確定のようであった

お迎えさんは 右耳のあたりに なぞのソリコミをいれた 70才くらいの田中さん

え、なんでソリコミ と思ったが よーくみると 雑巾の縫い目のようなものがそう 手術痕である。


そしていま わたしは、その田中さんのベットから マット式ナースコールが とりはずされているところを眺めているのである

田中さんが 起き上がって テレビみるたびナースコールなってうっとおしいからはずしにきたらしい


なんで そんなものが仕掛けられたというと 術後 麻酔で目覚めて せん妄で ベットから転げ落ちたらしい

田中さんは まるで 覚えがないといっていた どうやら田中さんは自分の身になにが起きたかまったくわからないようなのである

孫娘と外来にきて ぶっ倒れ意識を手放したところで記憶が途切れているようなのである

ふむふむ『わたしもお医者さんごっこをしてみますかね』

わたし「田中 あなたがベットから落ちたというのは 術後によくあるせん妄というやつ 人によっては幻覚などみて 暴れたりとかいろいろあるようです

さて 次に どんな処置を したかみたいので 傷口を 触っても?」

田中さん「どうぞ このあたりなんかぷにぷにしてるんですよね 」

私は 汚い雑巾の 縫い目のあたりを あたりを触診し尋ねる

わたし「このあたり頭を 1週間前から2週間前くらいまでの間に強く打ち付けた記憶はありませんか?」

田中さん「あ、あります ちょうど10日まえに 現場で ヘルメット越しですが足場が悪く転倒し強くぶつけました」

わたし「おそらく それが原因でしょう 病名は 急性硬膜下血腫 オペ内容は 頭蓋骨をわって 溜まっていた血溜まりを取り止血し、 閉じた ぷにぷにしてる部分は 頭蓋骨がはがされた部分でしょう」

田中さん「なるほど、たしかに」

見たか 丸二よ? 患者との対話は こうやるのがセオリーだ え?あいつ午後イチでいつも帰る?もういないのかよ!!

そこへ 本日の担当看護師こと ミルメークアキコがやってきた

ミルメークアキコは 私と同学年ということで 馴れ馴れしく話しかけ わたしのお腹をなでたり肩を触ったりするセクハラ痴女ナースである

男が女性にそういうことすると 痴漢っていわれるのに 不条理だ 私の肉体は無料で触れるほど安くないのだがね、おっと話がそれた。

わたし「田中さん 答え合わせといきましょうか?」っと邪悪に笑うわたしはセクハラナースに声をかける

わたし「おーいミルメークさんや、田中さんが なんか現状うまく理解できなくて不安がってるみたいだから 話きいたげてー、急性硬膜下血腫のオペ内容とその原因 せん妄については代わりに話しといたわー」

なんか 引きつった顔してこっちを見ている ミルメークアキコである 私は田中さんへ指をさしまくる ビシビシビシ お前の相手はそっちだという無言の指差し攻撃である そしてミルメークアキコは田中さんへと病状などを 説明をはじめた、まぁ それが本来のありかたなのだがな


******

お昼ごはんなどが 終わり 病棟が 静かになったので 私はセルフリハビリをはじめた

昨晩のことであるが 「脳外の紹介状 ちょうだいって どのタイミングで言えばいいの?」と担当ナースにきいたのだが

翌日から 作業療法、理学療法 言語療法 のリハビリ つまりオールリハビリカットである リピーターにならんやつには人員は割かないという柏藪からの宣戦布告であろう。

やることがイチイチせこいんだよな 丸二の指示か? そんなわけで わたしは 知人に リハビリプラン を作ってもらったのである

歩きながら 他の患者さんへの 取材も忘れない


6日目(土曜日) 7日目(日曜日)ということで 丸二のバカの回診がなかった

最終 2日間は 他の患者 を取材してまわったので それを書いて行こうと思う。

では ダイジェスト風にどうぞ


『ある元女医の憂鬱』

テレビがおいてある広い広場があるのだが そこに頭をかかえる老婆を発見したわたしは

わたし「どこか痛むんですか? ナースコールします?」と声をかけた

元女医「いえ 痛みはありません、ただ・・・・」

わたし「ん~?なにかありました?」

元女医「3時間以内に 救急車に飛び乗ってこちらの病院までやってきたのですが 血栓を溶かす薬を処置するように頼んだら 置いてませんと言われまして なんのために急いできたのかと思いまして・・それにこの今している点滴に全部血栓溶かす薬はいってるっていうからなんの反論もできなかったわ」

わたし「t-PA わたしもありません 言われましたわ、ないわけないだろとか言ってる間に3時間 タイムアップでしたわ、ここのヤブ医者、説明めんどくなるとありませんって言いはるみたい ちなみに このエダラボンにそんな効果あるのかな?きいたことないけど」

元女医「これ別な薬だもの 血栓 とけないわよ 」

わたし「ぼくら 悪徳病院に つかまってしまいましたね」

元女医「ええ、本当に今後のこと考えると 頭 痛いわよ」

そのあと色々 話したが わたしが『t-PA 』というワードを出したので医療従事者 つまり同業者だと思ったようだ

わたしは アマチュア左脳 脳疾患研究者 と名乗った 一族みんな 左脳 やられてるからさ 遺伝 だから 事前にすべて調べてあるのよね

そのような感じでいろいろ情報交換した よその病院 逃げる準備しなきゃね etcetc

「web通信教育で 脳のMRIもバッチリ見れるよ!」といったら驚いてた

老婆は現役ではないが元女医だという そりゃー 自分が なにされてるかわかるから なおさら 頭にくるよね



『肝っ玉ばあさん 現る』

この肝っ玉ばあさんとあったのは金曜日つまり入院5日目のことであった

ばあさん「あの~ちょっとお尋ねします、昨日のコロナ感染者何名でした?毎日つけてるもので」

わたし「調べますよー」スマホをポチポチし 検索する

わたし「140名ほどみたいですね」

ばあさん「毎日つけてるので昨日だけ わからなくて助かりました、昨日 緊急入院になったもので」

わたし「あれ? 脳梗塞ではなさそうですよね?一過性のやつかなにかですか?」

ばあさん「いえ 脳出血です 10日前から 頭痛くて 気合で耐えれなくなったので昨日 外来、来たら無理やり入院させられたわ」っと 元気に笑うばあさんである

いやいや 気合で 脳出血って 耐えるもんじゃねーだろうが・・・元気なばあさんがもいるもんだー

翌日午後 そのばあさんの破天荒っぷりが大爆発する

そう 土曜日の午後2時頃だった 洗面台のあたりになぜか ついてるシャワーで 洗髪をはじめたのである

もちろん まわりは水浸し ナースは 「うぎゃー」と 悲鳴をあげている 「頭 ふらないでー」などの声も聞こえる

悪徳医師丸二の部下どもめ 掃除に四苦八苦するがよい わーっはっは と 笑いながら その様子を見ていたわたしであった

なお そのばあさんは部屋に強制連行され、いなくなった後 ナースマンたちは 「あのババア なんてことしやがるんだ」とか「仕事 増やしやがって」など

本人のいないところで陰口をたたいてたのをわたしはしっかりきいたぞ

ババア相手にひよってるんじゃねーよ 文句くらい直接言えよっと思ったわたしであった

退院日にそのばあさんと遭遇したが 近々オペをするらしい 「髪の毛 中途半端に残すくらいなら丸坊主よ!!」っと元気に語っていたが

柏藪でオペって ずいぶん な ギャンブラーだなー ヤブまみれなんだから普通に死ぬぞ と思ったが口には出さなかった アーメン


第1部 柏藪編 完


あとがき

どうでしたかね? 脳外の闇をわたしなりに暴いてみた感じですが 物書きではないゆえ つたない文章で申し訳ない

次はアザーフ編です

こちらは 2話構成です

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