第34話 最悪な邂逅
さてと、、、。
江原には、夢栗に会うために生徒会室に訪ねてくれとの事だったけど...。
ここだよな?合ってるよね?
俺がなぜこんなにも心配しているかと言えば、この学校の生徒会室は生徒会と教員しか知っている人がほぼおらず、俺みたいな一般生徒が知っているわけないのである。
一応江原から聞いて場所はわかるんだけど...。
こんなとこにありますかねー普通。
どこにあるって?
なんと職員室の中の奥にあるらしいです。
ほんとかよ。
なんかよくアニメとかで見る生徒会って生徒会室がドンと目立つところにあるイメージなんだけど...。
どうやらこの学校は違うらしい。
そして俺が心配しているもう一つの点は、、、。
職員室に一度入らないといけないということだ。
職員室に良いイメージを持つ学生は少ないのではないだろうか。少なくとも俺は良いイメージを持ったことがない。
ただ夢栗数裡という男は、この時間に生徒会室にいるから今行けとの事だとよ。
ふぅとため息を一つ二つ溢しながらも、職員室のドアをノックして俺は生徒会室へと目指す。
「失礼します、、、。2年の鈴風です。」
「はーい、どーぞー。」
少し奥の給湯室から、教員の声が聞こえた。
まぁ、職員室ってこれが嫌なんすよねー...。
入り口でノックして名乗っている時点で注目されるわけじゃん?
そんで、全ての教員に見られたあと自分から目当ての教員のとこに行かなくてはならないという正に地獄なのである。
職員室と書いて地獄と読む、これ常識。
トコトコ職員室の中を歩き、生徒会室の前まで来た。
俺はもう一度ため息を吐いて、すぅー、はぁと入る覚悟を決めた。
夢栗が江原みたいに感じがいい奴ならまだ助かるんだが...。とそんな淡い期待を抱きながらドアを軽くコンコンと二回ノックして入る。
「失礼します、二年の鈴風です。江原君から聞いて伺いま」
「ノックは通常初めて訪れる場所などの場合は三回か四回だ。二回のノックは空いているかどうかの確認なので、今は人がいるとわかっていたのに二回ノックをしたわけだ。」
「え、あの、、、」
「君の今の行動は失礼に値しないかい?鈴風紅。」
..........。
なんだこいつ!!!!!
初対面でいきなり何なんだよ、ノック?回数?
知るか!!!別に今はいーだろ!!!!
こいつマジでなんなんだ。
俺がドアを開けた瞬間、ダメ出しをしてきたこの男が夢栗数裡という男らしい。
細身の身体にピシッとした姿勢、整った服装とネクタイ、そしてシックな黒縁メガネを身に付けたこの男が、江原が言っていた生徒会副会長だと...?
こんなクソ真面目野郎とは聞いてないぞ!!!?
とりあえず、今のだけでも俺とコイツの第一印象は最悪だが、、、話してみないと何も始まらない。
仕方ないと思い、話しかける。
「えーと、、、ノックに関してはすまん。そういうの詳しくなくてな、、はは、、、。」
俺がそう言うと、目の前の男はため息を吐きながら呆れた様に口を開く。
「そんな基本的な礼儀作法もしらないのか、、、。本当に君があの江原の友人か?」
「いや、友人ですけど。」
俺が答えると彼はさらにため息を重ねて、
「はぁ、君みたいな者があの男に関わって悪影響が及んだらどうするんだ。最も、このような品の無い奴と絡む様になった江原も、落ちたものだな。」
「お、、、?」
「なんだ、なにか文句があるのかな?私は間違ったことは言ってない筈だが。」
「いや、別に自分の事はいいんだけど、江原には俺が関わってるようなもんなんだよ。そういうのイラッとするんで辞めてもらっていいすか?」
俺が言うと、夢栗は少しニヤリと笑い問うてくる。
「何が言いたい?」
こんなやつに、もう礼儀なんていらねぇだろ。
俺はキッパリとこの男に言う。
「アイツの事、馬鹿にしてんじゃねぇよ。ガリ勉メガネが。」
「ふっ、笑わせる。ろくな成績を取ってもいないお前が江原海斗ともあろう男を擁護するなんて、恥ずかしくないのか?」
俺はキッパリといけ好かないメガネ野郎に言う。
「思わねぇよ、俺と江原じゃ差がありすぎて逆に無いまであるんだよ。」
「何を言っているのかまるでわからんな。おそらく君と私では知能の差がありすぎてしまうのだろう。」
「はいはい、成績マウントお疲れさん。お前だって生徒会副会長のくせにそんな性格なのか?生徒会もろくな奴がいねぇな?」
そう言った瞬間、夢栗はバッと俺の腕に手を伸ばし、捻りながら重い声で言う。
「お前が生徒会を侮辱するな、まずお前如きが生徒会室に来れてる事自体烏滸がましいんだ。立場を弁えて発言しろ。」
そう言うと俺の腕を離し、メガネの位置を直している。
コイツも相当力が強いようで、今のだけでも俺の腕は赤くなっていた。
「クッソ、いってぇ、、。お前だって俺と江原を侮辱しただろーが。謝れよ。ほら謝れや!!」
俺が仕返しのつもりで胸ぐらを掴もうとすると、夢栗はその手を握りそのまま思い切り机に叩きつける。
バァンという音と共に、激しい痛みが俺を襲う。
「ぐっ、、、、。ってぇなおい!!!」
「お前たち何をしている!!!!」
俺がいっその事殴りかかろうとすると、先程給湯室にいた教員が生徒会室のドアを開け怒鳴り込んでくる。
おそらく先程夢栗が俺の手を机に叩きつけた音を聞いて駆けつけたのだろう。
「鈴風、出ていきなさい。夢栗、話を聞かせてもらう。」
「は、コイツが俺に暴力をしたのに俺が出ていくのか?」
俺がキレながら言うと、夢栗はメガネを直しながら俺を見て呆れた様に言う。
「私の胸ぐらを掴もうと手を出してきて、正当防衛をすればこれか、、、。ほんとに何故江原はこのような男と関わっているんだろうな。」
さらに皮肉を重ねられ、俺は久しぶりに怒りが沸点を超えていた。
「今は出ていく、そんで二度とここには来ねぇ。あとテメェにも頼らねぇ。江原が参加できるまでは俺たちだけでやる。じゃあな。」
なんとか抑えて、生徒会室を出て行こうとすると夢栗が俺に話しかけてくる。
「そうしてくれ、私も君の様な者に勉強を教えるほど暇では無いのでな。」
皮肉をこれでもかと言うほど込めて俺に言葉を投げてくる。
ほんとなんでこんな奴がこの学校の生徒会副会長なんだ。腹が立つ。
本当に腹が立つ。
俺もそうだが、江原を侮辱されるのは違うだろ。
あぁー、、、イライラする。
抑えろ俺、抑えるんだ、、、。
夢栗数裡.....覚えてろよマジで。
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