第33話 明日への不安
ふぅ、疲れた。本当に疲れた...。
これで勉強会初日とか疲労感パネェな。
明日から大丈夫だろうか.....。
俺たちは今勉強会が終わり、それぞれの家に帰る途中だ。ちなみに今日は渓の家で勉強会をしていた。
今は俺と江原、青葉と山吹で帰っていると言う感じだ。
「にしても、海斗くんすごいね。あんなにわかりやすく解説できるなんて、、、!」
「ほんとにねー、先生より海斗くんの方がわかりやすいんじゃない?」
と笑いながら言う青葉と山吹。
勉強会が終わってからというもの、江原に勉強を教えてもらって打ち解けたのか、青葉も山吹も江原を下の名前で呼んでいる。
まぁ、俺はまだ江原としか呼んでないんだが。
「そんな事ないよ、望月さんも山吹さんも上達が早いからだよ。僕は少し教えただけだ。」
と謙遜しながら言う江原は、まだ青葉も山吹もさん付けとどこか少しよそよそしい感じだ。
まぁ江原も色々あるんだろうな。
特に女子なんてほんとになんて呼んでいいのかわかんねぇもんだよな。俺も昔は良くミスったもんだ。
たとえば俺が小学生の頃なんかは、
「なぁリサ、次の時間って、、、」
と俺が軽い気持ちで聞こうとすると、
相手は驚きながら
「え、、、。あ、いやごめん。下の名前で鈴風に呼ばれた事なかったから、、、。」
「あ、、、そうか。俺もごめん、、、。」
「、、、、。」
といった様に、女子というのは男子からも下の名前で普段呼ばれるような奴でも、普段呼ばれてない奴に下の名前で呼ばれると若干引かれる事がある。
俺だからなのかな...。
だから江原もそういった事を避ける為に女子はさん付けと決めている...的な感じなんだろう。
知らんけど。
「そういや、次の勉強会はどうする?あと一週間とちょいだろ?」
「ふむ、そうだね、、、。僕も明日から数日は用事があって参加が難しい状態なんだ。すまない。」
と申し訳なさそうに言う江原。
「ううん、気にしなくていいよ。仕方ないよ。」
「そだな、用事となれば仕方ねぇ。」
でも江原がいないとなると、勉強会といっても飛び抜けて賢いやつが居ないわけだし、今日の様子を見てても少し厳しいのではないだろうか。
俺がそれを言おうとした時、江原が先に口を開いた。
「でも、安心して欲しい。今日の様子を見ててもみんなだけで勉強というのは少し難しいだろう。」
「それはわかってたんだな。」
ちゃっかり江原も俺たちのこと賢くないって言った様な気がするが...。そこはスルーでいいか...。
「うん、だから明日から数日の間の勉強会は僕の代わりに友人を参加させるよ。大丈夫、悪いやつではないし、成績も毎回トップ5に入っている実力者だ。問題はないよ。」
なるほど...。
たしかにそれなら教えてもらう分には大丈夫そうだ。
「そうなんだ、是非参加してもらおーよ!」
山吹は嬉しそうに賛成している。
「その人はどんな人なの?」
青葉は首を傾げて江原に聞いた。
たしかに教えてもらうのだから、どんな奴なのかは知っておきたい。
「そうだね、一言で言うと誠実な青年ってところかな。ひたすらに素直で真っ直ぐな人だよ。僕とも良い関係を持ってくれているよ。」
「ようするに真面目ってことか、、、。真面目な奴と仲良くなれたことないんだけど、、、。」
「まずコウ君は仲良くなれた人自体が少ないんじゃないかな?」
え.....。
すっごい刺さったんだけど、なに言ってんだ...?
青葉が急に俺へ針を刺してくるような発言をしてきた。一瞬何言われたのかわかんなかったぞ...。
「いや、、まぁそうかもな、、、。」
「あ!ごめん!そういう意味じゃなくてね、、!?」
今更弁明は不要だよ青葉.....。
俺はもう傷ついちまった。とほほ...。
「こんな空気に割り込むのはすまないが、その人の名前は
「夢栗君かー。珍しい名前だね。」
青葉が名前を聞いて驚いている中、山吹は夢栗夢栗と呟いて何か思い出そうとしている。
「あ、思い出した!どっかで聞いたことあると思ったら夢栗君って生徒会副会長だったよね!?」
生徒会副会長?
聞いたことねぇな.....。
てか、そんな微妙な地位のやつ知るかよ。
全国の副会長さん、すいません。
「ああ、そうだよ。夢栗は現生徒会の副会長だ、山吹さんは知っていたんだね。」
「うん、半年くらい前に一年なのにもう来年副会長になる人がいるって噂になっててさー。」
そんな噂あったのかよ、、、。
全く知らなかった、、、。
俺の人脈の無さがよくわかるね、はは、、、。
「副会長さんに教えてもらえるなんて光栄だね!テスト勉強もばっちりだよ!」
「それなら良かったよ。まぁ数日の間は彼に頼むとするよ。」
「ま、たしかにな。」
喜んでいる青葉たちとは逆に、俺はどこか不安感を覚えていた。
なーんかこの学校の生徒会の人らって信用できねんだよなぁ、、、。
大丈夫かなぁと思いつつも、明日から教えてもらう夢栗という男がどんな奴なのかが気になっていた。
さて、、、平和に過ごせるといいですがねぇ、、。
そんな願望を願いつつ、みんなと別れ家に帰って俺は食べ残していたアイスを食べた。
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