第32話 はじまりの勉強会
「あ〜〜、、。だりぃ、、、。」
そう呟いてしまったのは、おそらく久しぶりな気がする。
「だよなぁ、、、だるすぎる。」
「もう、二人ともー!しっかりやらないと欠点取っちゃうよ〜。」
そう、今俺たちは定期テストに向けて集まって勉強会をしている。
ちくしょう勉強会なんてやるんじゃなかった。
だるい、やりたくない、めんどくさい。
そんな空気が俺と渓から発されている中、青葉と山吹はしっかりと勉強に励んでいる。
みんながんばりますねぇ...。
とは言ってもやらないとダメとかいう問題じゃなく、やらないと欠点取ってもっとめんどくさいことになるので、結局やるしかないのである。
人生大変なもんだな.....。
そもそも勉強ってなぜやるんだろうか?
一般教養?社会に出てから困らない為?親の為?
自分の為?良い大学に行く為?お金を稼ぐ為?
色々理由は挙げられるだろうが、俺はおそらく全部正しいと思う。
そもそもこの学歴社会だ。
勉強ができないとなーんにも役に立たないと思われてしまうのは必然だ。
だからやるんだ、勉強を。
とかカッコいいこと思うのはいいんだが、わかっていても妙な事にやる気というものはなっかなか湧かない。何故だ?
勉強が好きっていう人もいるが、たぶん俺みたいな奴には一生理解ができない感性だろうな。
だって勉強好きってなんなの?そのモチベはどこから来てるわけ?
テストでいい点とってもその時と数日モチベが上がるだけで、別に次も頑張ろうとか思わないんだが。
絶対アニメ見たりゲームしたりする方が楽しいし、ストレス少ないじゃん。
とか不平不満をぶつぶつと心の中で言いつつ、手は勝手に動くもので着々と勉強を進めていく。
渓はまだやる気スイッチがどうしてもオンにできないらしく、手や首をずっとポキポキさせている。
「あ、ここ分かんない、、、。コウ君わかる?」
「残念ながら俺も賢いわけではないんだ。その問題は俺もわかんなくて飛ばしてる。」
すまんな青葉。お前の力にはなれなさそうだ。
「私もこの問題わかんないんだよね、、、。渓わかる、、、いやわかんないか。いいや。」
「おいそれ失礼じゃね?おい。」
さらっと山吹にdisられる渓さんさすがっす。
「もう誰もわかんねぇから勉強会にならねぇな。わからないやつは全部飛ばすか?」
このままだと全ての問題が100%終わらないので、俺がみんなに問いかけた。
しかし青葉は納得いかないようで、首を振りながら反論してくる。
「それじゃダメだよ、苦手なまま飛ばすと痛い目見るよー。」
「まぁたしかに、、、。」
じゃあどうするってんだ。まるで浮かばないぞ。
「もう勉強会辞めるか〜?」
「そんなわけあるか。」
凄いことを言う渓をバシッと叩く。
俺も辞めたいけど、そんな簡単に辞めれるほど甘くはないのはわかっている。
「どーしよー、、、。」
「お手上げだね〜、、、。」
青葉と山吹が言い合っている。
たしかにもう打つ手なしだな。
そんなことを考えて負の連鎖が数分続いて、そろそろ勉強会が始まって一時間が経とうとしていた時、100人の助けよりも頼もしい1人の声と共に、少し赤みがかった髪の美青年が入ってくる。
「みんな、そこまでだ。」
その声と姿を見て、一斉に全員がバッと立ち上がり声を上げる。
『江原!!!』
その声にニコッと微笑み、青年は答える。
「やぁ、みんなお疲れ様。そしてお待たせ。」
そして荷物を置いて俺たちに言う。
「さ、分からないものがあれば僕が力になろう。」
た、頼もしすぎるぜ兄貴、、、!
思わず兄貴呼びになってしまうくらいこの時の江原のタイミングはすごかった。
「江原ァァ!俺にこの問題を教えてください。」
「おい!抜け駆けはずりぃぞ!!江原!コウなんかより俺に教えてくれ!」
「おいテメェやんのか?お?」
「上等だ。表出よーぜ!!!」
俺と渓がわちゃわちゃやっている間に青葉と山吹が江原に話しかけていた。
「江原くん、ここが私たちわからなくて。教えてもらってもいい?」
「もちろんだよ、じゃあ先にこれから解いていこうか。これはね....」
テキパキと大事なポイントを抑えつつ、かつスピーディーに教えていく江原の解説を聞いて青葉たちは随分と理解度が高くなっている気がする。
俺と渓は騒いでしまったので、とりあえず後回しになってしまった。つらい。
数十分後、江原からほとんどの問題の解説を受けて満足気な青葉たちが向き直り俺と渓にグッジョブとハンドサインを作る。
「そりゃよかった。次は俺と渓だな。」
「おう、江原にしっかり教えてもらうぞ。」
俺たちは気合を入れて、江原の所に行く。
『おなしゃす!!!』
「うん、じゃあやっていこうか。まずここはね...。」
てなわけで教えてもらい始めて小一時間が経ち、
「おぉ!江原すげぇ!わかった、、、、、わかったぞぉ!」
「それは良かった、力になれて嬉しいよ。」
爽やかスマイルでうんうんと頷く江原に対し、渓はあまり理解ができていないようで苦戦していた。
「え?なに?ここのルートを有理化して、、、わかんねぇよ!!!」
ご愁傷様です。渓くん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます