第27話 まだ花見は終わらない

その後、王様ゲームと俺のエベレストは比例するように終わりへと向かい、



結局、何ひとつ罰ゲームを受けていないのは江原だけであった。



あいつ凄すぎる、、、!



罰ゲーム受けた人は江原以外の全員だ。



江原の勝ちでいーや的な雰囲気になり、段々と俺と渓の江原への復讐心も最初から薄かったものがさらに薄くなり、収まりの方向へ向かおうとしていた。



そして、王様ゲームの終わる瞬間はまさにカオスだ。




「いやー、楽しかったぴょんね!」



誰かがそんなことを言う。山吹楓だ。



「楓ちゃん!もうゲーム終わったんだから言わなくていいんだニャン!」



それに続き、特大ブーメランの青葉がツッコむように言う。




「青葉ちゃんも間違ってるよー!!!」



さらにそこへツッコミを入れる、鼻にも指を入れる飯島結衣がいた。



色々入れすぎじゃないですかね、飯島さん。



俺はもう慣れたからいいんだが、普通の男の子にあの姿はだーいぶまずい。



マジで新たなナニかが目覚めた人は、エベレスト立つから。マジで。



「あぁー、いってぇ。というか気持ちわり。もう抜いていいんだよな?」



「あぁ、いいよ。」



江原が答えると、渓が嫌そうに鼻に指を入れていた手を抜く。



「ほんとに、誰かさんが同盟を一瞬にして木っ端微塵にしたからなぁ、、、、こんなことになったんだろぉが、、、、。」



ごめんなさい。



たぶんそれ、俺だよね。


たぶんじゃなくても俺だわ。



渓はこちらを睨むようにしながら俺に目掛けて言う。



いや悪かったって、、、。



俺も悪いくらいは思うからね?ちゃんと。



今回の渓への罰ゲームだって、江原を狙って撃った流れ弾なんだから故意じゃねーんだ。



未だにこちらを睨み続ける渓を無視しながら、江原に話しかける。



「江原ー、そういえばお前一個も罰ゲーム受けてなかったけど、なんかしてたのか?」



「ん?いや、何もしてないよ。今回僕はどうやら運が良かったようだね。これが続くと嬉しいよ。」



と、爽やかSMILE!で返事をしてもらった。



「そうか、江原だもんな!」



と言って、グッとグッジョブサインを送る。



「僕だからというのは腑に落ちないが、、、ありがとう。」



腑に落ちなくても感謝はしっかりする江原さん。

さすがっすわぁ、、、。



さてさて、割り箸も片付けて、寿司や餅なども片付けますかね。




というより、俺がそう思った頃には、既に江原たちは片付けを始めていた。切り替えすごいな。



語尾がなかなか抜けなくてボケをかましていた山吹&青葉も、慣れてきたみたいで語尾はしっかり戻っていた。



かわいい女の子が語尾変えてもかわいいのは凄いよね!ニャンとかもはや反則まである。



俺は不貞腐れながら後片付けをしている渓の近くに行って、ポンと肩を叩きながらジュースを渡す。



「ほいよ、さっきは悪かったな。マジで。」



「まぁいいっすよ。別に。」



と渓は許した感じの言葉は述べているものの、納得はいってないみたいな感じだった。



ふむ、、、でもしっかり渡したジュースを飲むあたり、渓はそんなに怒っているわけではなさそうだ。



「ま、それならいいんだけどなっ!」



バシッ!っと、渓の背中を叩きながら俺は言う。



「痛って、、、お?やるか?お?」



渓は喧嘩売ってんのかと言わんばかりの感じでこちらを見てくる。



「いやいや、悪かったよ。ま、俺ら二人でも江原には勝てないことがわかったからな。」



すると渓はうーんという感じでそれに意見を出す。



「いや、、、でも腕っぷしなら俺とコウ二人で江原一人に向かったら勝てんじゃねぇか?」



「絶対無理だな。」



「え、、、そうか?」



俺にはそれが不可能なことを理解できる。



江原に二人かがりで挑む?



ノンノン、、、いや、のんのん、

勝率は、、、ゼロなのん。



普通に考えて、高校三年生を一人相手にして、秒殺だった江原に、高校二年生が二人で勝つなんて無理に決まってんだろ。



「絶対無理だ。少なくとも俺はやだ。江原と戦いたくない。」



俺がキッパリと告げると、渓も少し驚きながら頷く。



「お、おう。そうか、コウでもそう言うなら、無理なんだろうな。」



別段、俺と渓が弱いからっていう理由なんかではサラサラない。



俺だって武道を小さい頃に習ってた身だし、渓だって武道こそやってはいないが、体格がいいから弱くはないだろう。むしろ、一般的な高校生より強いのはたしかだ。



それを知った俺が言うんだから間違いない。



江原には勝てない。これ覚えとけよ。



「だから、江原に挑むのだけはやめとけよ。そんだけだ。」



それだけ言い残すと、俺は立ち上がり江原たちが片付けしている場所に戻る。



「でも、もうお花見も終わりかぁ、、、なんか早かったね。」



と、もう卒業かぁみたいな感じでこのイベントが終わることにしゅんとなっている青葉がいた。



すると、飯島もそれに頷く。



「ね、早かったよね!でも楽しかったから良かったな!」



と、ゴミを捨てながら飯島は楽しそうに言った。



「またみんなでこんな感じでやりたいねー!」



山吹も、今回のお花見は楽しかったようでご満悦だ。



「そうだね、、、たしかにこういうのも悪くないのかもしれないね。」



江原もみんなに同意のようだ。



シートに戻ると、そんなみんなの会話がよく聞こえた。



とりあえず、江原が最後にシートを片付けようとしているところに話しかける。



「あ、悪い江原。シートはまだ置いといてくれないか?ちょっとやりたい事がある。」



いつになく真面目に言う俺を見て、江原が頷く。



「わかった、鈴風くんが何かすると言うならまだ置いておくよ。」



「すまん、助かる。」



そう言って、俺は青葉のところへ向かう。




さぁ、お花見最後のイベントだ。




サプライズ、、、待っとけよ青葉。







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