第20話 買えないモノ


まじか、、、、。




桜餅を買うことに決定したわけですが、、、、。




桜餅は売り切れになっていた。




和菓子コーナーには、大人気桜餅!と書かれたポスターの下に、売り切れと記してある。



まぁ、この季節だし仕方ないよなぁ。



俺は少し残念に思いつつ、さっきから横で無言の青葉に話しかける。



「売り切れか、、、。久しぶりの桜餅だから楽しみにはしてたが、しゃーないな。他のやつにするか。」



すると青葉はかなり低めの声で喋り出した。



「桜餅、、、。食べたかった、、、。」



あららー、、、

かーなり落ち込んじゃってますわーこれ。



俺からするとただの桜餅以下でも以上でもないが、青葉からすれば、かなり楽しみにしていたのかもしれない。



俺もちっせー頃はこういうイベントごとの美味しいものを楽しみにしていたりしたからな。



特にあれ、冬はマジでいい。ほんとに。




まず12月といえば、クリスマスだよな?



聖夜の夜、暗い夜の街が明るいのは、

闇よりも人々の暖かく明るい雰囲気や、クリスマスツリー、そしてイルミネーションなどで昼と言っても過言ではないほどに明るい。



その明るさの中で、男女問わず楽しげな笑い声が聞こえてくる。



そしてクリスマスは、祝う行事だがそれ以上に縁結びの行事だと俺は思う。



何故かって?




カップルがバカみてぇに沸いてくるだよ!!!



バカみてぇにというと聞こえが悪いかもしれないな。訂正訂正。



ありえないほどに沸くんだよ!!!!




もちろんその明るさの中に俺がいたことはない。



俺はといえば、あたたかーい(暖房)雰囲気の中で家族とガヤガヤと楽しいお喋りをしながら、いつもより高めのお値段の晩御飯を無料ただで頂いている。



いやー、美味かったなー。





そして1月、お正月シーズンだ。




こちらもクリスマスに負けないくらい美味いもんが食える。



まず、大晦日の夜。食えるものはなんだ?




そう、年越し蕎麦だ。




これがまた普段食べる蕎麦とは比べものにならないくらい美味く感じる。



実際普段よりはいいヤツを買っているので、美味いのも頷ける。が、大晦日だけはやっぱり美味い。




大晦日といえば冬休みの真ん中あたりだ、俺は長期休みの場合一番好きなのは真ん中だ。



最初の方はまだ学校生活リズムになっていて、朝の8時には遅くとも起きてしまうので、少しめんどくさい。



親は早起きなので、起きたら冬休みといえども家の手伝いをさせられる。だから、できれば午前中は起きたくない。



そして、後半になってくると課題やら学校やらで若干の鬱になりかけるので言わずもがな好きではない。



となると消去方的に真ん中を好むのは普通じゃないだろうか。


以上真ん中熱論でした!




んで、大晦日寝たらもうお正月!




本番はここなわけです。




一応俺の家庭では、1月1日は親戚の家に行って過ごすというのが普通である。



親戚が多く集まってた時の嬉しみはハンパない。




ナニがとは言わないけど、ガッポガポよ。



んで、お正月に美味いものはもちろんおせちだよな。



おせち、お雑煮、おしるこ、この辺りを無料ただで食えるのは本当にありがとうございますなんだよなー。




そんな俺だからこそ青葉の悲しみもわかる。



ここは、ひとつ言葉をかけますかね。




「まぁ、しゃーないよな。桜餅の代用案考えようぜ。他にも美味いもんはあるしさ。」



「うん、、、そうだよね、、、。わかった。」




そうは言うものの、かなり落ち込んでいることに変わりはない。



こういう時、小柄な青葉には何か餌付けをしたくなるというものだ。



人間、落ち込んでる自分より小さいものがいれば、慰めてあげたくなるってことだ。




俺の横で悲しそうにしゅんとなっている青葉を元気付ける為に、俺はどんどん喋る。 




「ほら、これなんかどうだ?桜大福だってさ。期間限定らしいし、いいんじゃね?」



「あとほら、これもいいんじゃないか?シンプルに柏餅とかさ。」



「うん、、、美味しそう、、、。」




よしよし、上手く誘導できてるぞ。



思い出せ、小さい頃俺より小さい従兄弟の子と人生ゲームした時のことを。



その時俺は、その従兄弟があまりにも生意気だったので、1番きつい給料が8000円くらいのコースに上手く口実で誘導して、自分を勝利へ導いたものだ。




俺だいぶ性格終わってんな。




まぁ、それはさておき!とにかく青葉にこっちもこっちもとじゃんじゃん勧める。



「どれにする?むしろ全部買っちゃうか!?」



しかし青葉は首を横に振り、



「いや、甘い物だけだと飽きるかもだから、和菓子は2種類くらいでいいよ。」



と、さらっと流されてしまった。



こんな時でも賢いっすね青葉さん。



そんな感心を抱きながらも、甘くないものも勧める。



「そうだな、、、じゃあお寿司とかも買うか?」



「お寿司かー、、、いいね。それにしよっか。」



青葉は少し機嫌を持ち直したかのように言った。



ふぅ、とりあえずオーケーだ。



よし、じゃあ寿司コーナーに向かおうか。



そう思った時、俺と青葉の後ろから声が聞こえた。



「おーい、鈴風くん、望月さんー。」




「江原、、、、!」




そう後ろから呼びかけてきたのは、完璧超人イケメンこと江原海斗だった。







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