第18話 スーパーに行こう


一日の授業を全てこなし、気づけばもう放課後になっていた。



この学校では、放課後からは教室で自習、あるいは部活動をすることが基本となっている。



俺は今日、この二つのどちらでもない選択肢を取る。



帰るのだ。



とは言っても、しっかりとした理由はある。



まず、今日は木曜日。



みんな、明日何があるかわかるよね?


そう、お花見イベント当日だ。



この花見において、江原とは個別で連絡を取っていたのだが、一点変更があった。



金曜日の午前中に買い出しに3人で行くという予定であったが、金曜日の午前中は授業になったというわけで、各々金曜日までに自分たちで買い出しに行かなくてはならないということになってしまった。



なんて理不尽なんだ、、、。



授業終わった後に花見とか、プラマイゼロなことをなんでやるかね。そこまで授業って大事ですか?



いや、大事かな。大事と思わなければ、怒りが湧いてきちゃうなぁ。




とにかく、明日行けないとなれば、前日の木曜日に急いで行かねばならんと言うわけだ。




てな感じで、俺は(いつも通り)放課後は部活も自習もせずに帰ることにした。



べっ、、、別に部活やってないって訳じゃないんだからね!!!




さてと、、、江原の連絡先も交換したことだし連絡しときますかね。



ていうか、

江原と連絡先交換することの重大さがヤバい。



それだけで、100人と連絡先を交換するのと同じくらいに頼りになりそうだ。



電話とかワンコールで出そう。



「今から家に帰るが、言ってたスーパーに集合でいいか?  by紅」



よし、送信っと。



こまめな連絡は大切だ。



それをしていたかしていなかったかの差は激しい。



していたことによって、未然に防げるモノがある。



まぁ、逆も然りなんだけどね。



そんなことを考えながらポケットに携帯を直そうとすると、通知が鳴った。



誰だ?江原だとしたらはやすぎじゃね?



携帯の電源をつける。通知を見る。江原がいる。



引くくらい江原は返信が早いことをこの時初めて俺は知ったのであった。



びっくりしつつも、内容を見る。



「あぁ、それで構わないよ。今からなら、僕はもう家にいるから、そのスーパーまで5分あれば行けるけど向かおうか? by海斗」



なるほど、、、ん?5分?はやいなやっぱり。



流石に俺も今から帰ってスーパーに行っていては、20分くらいはかかるので、返信をする。




「いや、それは早すぎる。今から20分後にスーパーで集合でいいんじゃないか?あと、青葉とも合流しなくちゃいけないからな。 by紅」



よし、これでおっk



通知が鳴った。




コイツずっと携帯見てんじゃねーの?



スマホ依存症なのでは?



江原を心配しつつ、携帯を見ると通知が二つ来ていた。



一つは江原、一つは青葉からだった。



「あぁ、わかった。なら20分後に僕も行くよ。合流を楽しみにしているよ。 by海斗」



ほい。おっけーと。



「紅くん、おつかれさま。今まだ学校にいるかな?もしいたら、そのまま一緒にスーパーに向かわない? by青葉」



ふむ、青葉がそう言うならそうしましょうか。



別に俺も家に用事がある訳じゃないからな。



用事がなくてもつい帰りたくなる場所、


それが家だ。



家に帰ればなんとやらだ。家最高。



「おう、今学校から出ようとしたところだ。今から校門までこれるか?そこで待ってる。 by紅」



いやぁ、今まで女子との連絡なんて縁がなかった俺だからこそ言える。最高っす。



すると、流石に青葉は江原程ではないが、比較的早く返信が来る。青葉は人間で良かったです。



「了解!じゃあ、すぐ行くね! by青葉」



元気でよろしい。あと可愛い。



なんか、青葉とか江原とか渓もだけど、文字なのに声が聞こえてくるんだよなぁ。



たぶん、イメージが強すぎるんだと思う。



もしくは、人を覚えるのは無理な俺だが、音とか声とかを覚えるのは得意なのかもしれんな。



聴力いいのは老後に効くから嬉しい。



別に人を覚えるなんて、今覚えれなくても老後なんかもっと覚えられないんだから別にいい。



と思いつつ、自販機のボタンを押す。



ふぅー、一服一服ぅ。



この暖かさが溢れ始める季節はいいな。



つめた〜いもあたたか〜いも

どちらでもとても美味い。



ちなみに今購入したのは、

今から頑張るぞ!寝ないぞ!



と意気込んで買った紅茶である。


ちなみにあったかいやつ。



あったかい紅茶はほんとに身体の芯から温まってる気がして、ちょー美味しいんだよなぁ。



急に、首元に温かいものが触れ、俺は変な声を出してしまった。



「うおっ!?」



「へへーん、引っかかったなー?」



そうニヤけながら言ってくる人物を睨もうとするも、すぐさま俺の心は温まる。



青葉だった。そこには、小柄だがイタズラをする気持ちは誰にも負けませんと言うかの如く、凛々しく立っている青葉がいた。



は、ははー、、なかなかに、、!



かわいいことやってくれるじゃないか、、、!



すぐさま、振り返り青葉の手元を見る。




なんだ、カイロじゃなくて首元にも紅茶が当てられたわけですか。



口からでも首からでもオッケーとか温かい紅茶有能すぎる。



無人島に一つ持っていくとしたら、俺はマジで長い長編ラノベを持っていきます。紅茶ではないよ。

紅茶ごめん。でも好きだよ。



なにやってんだ俺。



「なんだ、青葉かよ。」



「青葉ですー笑」



俺に不意打ちができたのが嬉しかったのか、

終始青葉はニヤニヤしている。



そのニヤニヤ顔でご飯、、、というか稲だとしても二杯分は食えそうだ。あーかわいい。



べ、、、別に好きとかじゃないんだからね!!!



今日俺ツンデレ多いな。うざいな。やめよう。



さて、冗談もこのくらいにして江原と合流しなきゃだしスーパーに向かいますか。



「よし、行くか。」



「うん!」



さ、適当に行って、適当に買って、帰って携帯いじって寝るか。



自堕落すぎる生活リズムを自分で反省もせずに考えながら、俺はふと思う。




今から俺と青葉はスーパーに行くわけだ。



そして今俺と青葉は共に学校を出たばかりで制服。



江原と会うまでは俺と青葉の2人のみ。



これって、、、。



これって、、、。




制服デート、、、なんですか?

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